調子乗りました

連日更新が久し振りすぎて震えてます、こんばんは。


今日も追記に文章。黒狼さん宅のお子さんをお借りしています!
昨日の文章のね、続き書いて良いって言われたから……遠慮できませんでした、書きたがりに定評のあるあもですチィーッス!!!
妄想ノーカットでいこう!と思ったら、少し長めになってしまい。キャラ違う!とか展開無理矢理だ!とかあるかとは思いますが……暇潰し程度にでもなれば幸いです。
保存転載等は黒狼さんのみご自由にどうぞ。書かせて頂き有難う御座いましたー!



「……見付かりませんでした、ね」
「あー!くそっ!何処行っちゃったんだよ!!?」
港に停めた船の甲板に集まり、海賊団員達は各々落胆した様子を見せる。
アロンジェ行方不明事件時に世話になった、トリミアンの兄妹。改めて世話になった礼を言う為に捜しているのだが、目撃情報は少ない上に曖昧と、その捜索は予想外に難航していた。
「色違いの子なんて、いれば目立つ筈だし。もしかしたら、もうこの町にはいないのかもしれないわね」
アルビダの冷静な意見に、アロンジェは小さく肩を落とす。
「どうしましょう、もし、見付からなかったら……」
「大丈夫だって!だから、そんなに気ィ落とすなよ!!!」
ドレークが励ますも、アロンジェは浮かない顔だ。
必死でフォローを入れるドレークに、キルケゴールが呆れた眼差しを向ける。
「大体、お前が名前聞き忘れなければ、こんな面倒な事にならなかったんだよ」
「うっ……!だからー!それは悪かったって言ってるだろ!!?」
「反省してるってんなら、さっさと見付けて来い!」
「分かってる!分かってるから!!!だから銃はやめてください!!!」
今にも銃を取り出しそうなキルケゴールに、ドレークは慌てた様子で謝る。
「あ、あの、お二人とも喧嘩は……!」
もはやトリミアン兄妹の捜索など忘れて騒ぎ出す二人に、アロンジェも困り顔だ。狼狽えつつ、アルビダに助けを求める。
「ア、アルビダさん。如何しましょう!?」
「……あ、大丈夫よアロンジェ。……キルケ!」
アルビダは我関せずといった風に船の外を眺めていたが、ふいにキルケゴールを呼んだ。
「あ?何だ?」
「そろそろ、銃はしまいなさいな。お客さんよ?」
「客?」
訝しげにキルケゴールが船の外に視線をやる。と、先程まで険しい顔で銃を構えていたのが嘘の様に、冷静さを取り戻した。
「ドレーク、命拾いしたな」
「あ、ああ……?」
ドレークにそう告げると、ガチャリと銃を下ろしキルケゴールは船の昇降口へと向かう。
「な、何だ?如何した?」
助かったことに安堵しつつドレークが訊ねると、アルビダは薄く笑みを浮かべて港を指差した。
「ほら、アレ。御覧なさい?」
「どれ?」
アルビダが指差す先を見ると、そこには父に付き添われて歩くキルケゴールの姪の姿があった。


「叔父ちゃん、こんにちは」
「よく来たな、リエ。パルジファルも」
「急に来ちゃってすみません、お義兄さん」
「大丈夫だ、気にするな。」
突然の姪の来訪に、キルケゴールの機嫌は直ったようだ。リエンツィとパルジファルを船に上げると、早速リエンツィは話し始める。
「あのね、伯父ちゃん。今度ね、新しいお話をやるの。伯父ちゃんも観に来てくれる?」
落とさないように、と思っていたのだろう。ぎゅっと握っていたせいでしわの寄ったチケットを差し出し、リエンツィはキルケゴールに訴える。
「リエ、伯父ちゃんが来てくれないと嫌だよ?」
「ああ……有難うな、リエ」
差し出されたチケットをキルケゴールが受け取ると、リエンツィはぱっと明るい笑顔を浮かべた。嬉しそうに鞄を漁り、更に数枚のチケットを取り出す。
「今度はね、特別なの。だから、お船の人みんなで来てね!」
「皆で、か?」
ちらりとキルケゴールが甲板の方に視線をやると、それに気付いた他の面々も集まってきた。
「何、どうしたのよ?」
「いや、今度の舞台のチケットがな……」
「あ!俺達の分もあるのか!?ありがとなー、リエ!」
「はい。絶対、絶対来てね?」
一枚一枚、リエンツィはチケットを手渡していく。アルビダ、ドレーク、そしてアロンジェ。
アロンジェにチケットを渡す時、ふとリエンツィはその表情が固いことに気が付いた。
「人魚姫さん、どうしたの?」
「……え?」
リエンツィに訊かれ、アロンジェは頬を抑える。いけない、こんなに小さな子に心配をかけてしまうなんて!急いで笑顔を浮かべ、リエンツィに礼を言った。
「大丈夫ですよ。有難う御座います、リエちゃん」
「……ほんと?」
アロンジェは平気だと言うが、リエンツィは納得がいかない様子だ。それを見て、パルジファルは小声でキルケゴールに尋ねる。
「あの。何かあったんですか?」
「あー……いや。ちょっとアロンジェが世話になった人を捜してるんだけどよ、見付からなくてさ。トリミアンの兄妹なんだが」
「トリミアンの?」
キルケゴールの言葉に、パルジファルは少しだけ驚いた様子だ。
「知ってるのか!?」
「あ、えっと。その捜している人達かは分かりませんけど……」
確信は持てないと言いつつ、パルジファルはリエンツィに視線をやった。キルケゴールもそれを目で追う。
リエンツィはアロンジェの腰にしっかりしがみつき、「めっ!」と叱っている最中だった。
「人魚姫さん、そんな顔しちゃダメよ!」
「ご、御免なさい……」
「あのね、今度の舞台は特別なの。だから、きっと人魚姫さんも来てね。楽しいよ?」
「は、はい」
「凄いんだよ。パパとカルメンお姉ちゃんだけじゃなくて、違うトリミアンさんも出るの!」
「……違うトリミアン、さん?」
リエンツィの言葉に、海賊団員達は互いに顔を見合わせる。
「どういう事だ、パルジファル?」
キルケゴールが説明を求めると、パルジファルは場の異様な雰囲気に戸惑いつつ口を開いた。
「あのですね、今回は少し人手が足りなくて。劇団の外からもゲスト出演者を呼んでるんです。それがトリミアンでして」
「凄いのよ!おっきいお兄ちゃんと、真っ黒のお姉ちゃんなの!」
大きいお兄ちゃんと、真っ黒のお姉ちゃん……きっと、真っ黒とは色違いの事だろう。これはもしかして、もしかすると。
「あのさリエ!その真っ黒のお姉ちゃんって、もしかして「キュリー」って名前じゃないか!!?」
ドレークが訊ねると、リエンツィは大きな目をぱちぱちと瞬かせて答えた。
「ドレークお兄ちゃん、どうして知ってるの?でも、キュリーお姉ちゃんはキュリーお姉ちゃんじゃないよ、ワルキューレお姉ちゃんっていうの」
間違いない、当たりだ。リエンツィ達の言うトリミアンとは、あの兄妹のことに違いない!
「偉いぞ、リエ。よくチケット持ってきてくれたな」
「え?リエ、偉いの?」
キルケゴールに褒められ、事態がよく分かっていないながらもリエンツィは嬉しそうだ。
「そう、劇団のゲストね……」
「この前まで違う町で公演してて、この町には来たばかりなんです。着いてからも、殆ど劇場に籠ってましたし」
「そっか、だから目撃情報少なかったわけか!」
うんうんと頷き合う仲間の傍らで、アロンジェはそっとチケットを眺めた。
「良かった……また、会えるんですね」
公演日を確認すると、日付は明後日になっている。明後日には、彼等にまた会えるのだ。
今度こそ、ちゃんとお礼を言おう。キュリーちゃん……ワルキューレちゃんと、彼のお名前は何というんでしょう?訊けるかしら?
どきどきと高鳴る胸を押さえ、アロンジェは小さく笑みを浮かべた。


******


「さーて、お礼参りといきますか!!!」
「ドレーク。意味が違うぞ、意味が」
ぞろぞろと連なって歩き、海賊団員達は町の劇場へと向かう。今日はリエンツィに貰ったチケット……新作舞台の公演日だ。
「それにしても、偶然ってあるものなのね。まさか、こんなところに捜し人がいるなんて……お宝探しは得意だけど、流石にこれは予想外だったわ。良かったわね、アロンジェ?」
「は、はい……」
アルビダに言われ、アロンジェは控え目に頷いた。
一歩一歩、劇場に近付くにつれ緊張が増していく。彼等に会ったら、まずは何と言おう?
考えている間に到着し、アロンジェは会場入り口に設置された掲示板を見る。貼り出されたポスターには、出演者の名前も書かれていた。

特別出演:ロイバルト ワルキューレ

ワルキューレは、キュリーのことだ。となると、ロイバルトというのが彼の名前だろうか?
ロイバルトさん。
確認するように心の中で名前を呼ぶと、アロンジェは吸い込まれるように劇場の中へと入っていった。


「叔父ちゃーん」
中に入ると、ずっと待っていたのだろうか?早速リエンツィが駆け寄ってくる。
「リエ」
「いらっしゃいませ、ほんじつはごらいじょういただきありがとうございます!」
ぺこりと頭を下げ、丁寧な挨拶をするリエンツィ。彼女の頭を優しく撫でて、キルケゴールは訊ねた。
「リエ、今日は皆舞台に出るのか?誰もいないが」
「うん。だから今日はリエ、お留守番なの。叔父ちゃん達と一緒に観てて良いよ、って」
「そうか」
リエンツィは「こっちこっち」とキルケゴールを押すように歩く。それに続くように海賊団員達も席へと向かった。
道中、ふとリエンツィはアロンジェへ視線を向ける。
「そうだ、人魚姫さん」
「何ですか、リエちゃん?」
「あのね。ロイお兄ちゃんとキュリーお姉ちゃんに、人魚姫さんが捜してるよって教えてあげたの。そしたら、お兄ちゃん達も会いたいって言ってたよ」
「え……ほ、本当ですか!?」
「リエ、嘘つかないもん」
リエンツィの言葉に、アロンジェの頬が紅く染まる。彼等も自分のことを覚えていてくれたなんて!
「アロンジェ、顔真っ赤よ?」
「ど、どうしましょうアルビダさん。緊張します……!」
公演開始のブザーが鳴るのを聞きながら、アロンジェは自分を落ち着かせるのに必死になっていた。


******


「……はぁ」
公演が終了し、アロンジェは小さく溜息をつく。
舞台に立っていたトリミアン達は、間違いなく世話になった彼等だった。そしてこれから、その彼等に会いに行くのである。アロンジェにとっては、ここからが本番だ。
「すっげーな!面白かった!!」
「そうね、たまにはこういうのを観るのも悪くないわ」
舞台の感想を言い合うドレークとアルビダに、アロンジェはふむふむと頷く。そうだ、折角会えるのならお礼だけじゃなくて感想も伝えて、それで……
「……人魚姫さん?」
「は、はい!?」
考え込んでいたら、リエンツィに声をかけられた。慌てて視線を下げ、笑顔を向ける。
「何ですか?リエちゃん」
「人魚姫さん、怖いの?ロイお兄ちゃん、人魚姫さんがロイお兄ちゃんのこと怖がってたって言ってたよ」
「え?」
予想外の言葉に、アロンジェが目を丸くする。
「大丈夫だよ。ロイお兄ちゃん、おっきいけど優しいもん」
「あ……はい。そうですね。大丈夫ですよ、怖くありません」
「うん。人魚姫さんも、ロイお兄ちゃんと仲良しね!」
安心したように笑うリエンツィに頷きながら、アロンジェは内心ヒヤヒヤだ。
あの時、助け起こそうとしてくれた彼の手を取らなかったこと。あれが怖がっているように見えたのだろうか?決してそんなつもりなど無いが、もしかしたら嫌な思いをさせてしまったかもしれない。
ああ、伝えなければいけないことが増えました!
控室の扉は、もう目の前。はたして自分は、上手く気持ちを伝えることが出来るだろうか……?


「やぁやぁ、いらっしゃい。本日はご来場頂きまして有り難う御座います!」
控室の扉を開くと、真っ先に飛び出してきたのは座長のピグマリオン。次いで、パルジファルが顔を出した。
「お義兄さん、今日は有り難う御座います。リエもお世話になってしまって」
「いいや。チケット、有り難うな」
ぱたぱたとキルケゴールに駆け寄る姿は、まさに忠犬である。
その様子を微笑ましそうに眺めながら、ピグマリオンは海賊団員達を室内へと招き入れた。
「どうぞ、ゆっくりしていってね。いやぁ、若い子が沢山来ると賑やかでいいよね!」
「すんません、お邪魔します!!!」
「先程の舞台、とても良かったわ」
ドレークとアルビダは、早速劇団員と会話を楽しんでいる。アロンジェも視線をきょろきょろと動かし、目的の兄妹を捜した。
「え……と、ロイバルトさんと、キュリーちゃんは……?」
人垣を乗り越えて、いた。部屋の奥の机に、向かい合って座っている。
何と声をかけようか迷っていると、気付かれたらしい。向こうから先に声をかけられた。
「あ、この前のお姉さん!こんにちは!」
「ん……あ、お前」
「あ……あのっ、先日は有り難う御座いました!」
深々と頭を下げるアロンジェに、ワルキューレは笑顔で近寄ってくる。
「わぁ、また会えましたね!リエちゃんから私達を捜してる人がいるって聞いたんですけど」
「はい、お世話になったので、ちゃんとお礼が言いたくて……本当に、有難う御座いました」
「いえいえ、お気になさらず。大したことじゃありませんもの!……えっと、お姉さんのお名前って?」
「私、アロンジェと申します」
アロンジェが名乗ると、ワルキューレは小さく「アロンジェさん」と復唱した。
「綺麗なお名前ですね。私はワルキューレっていいます、キュリーでいいですよ!それで、こっちがロイ兄さんです」
「キュリー、紹介すんならもっとちゃんとやれ。……ロイバルト、だ」
呆れたように言い、ロイバルトも椅子から腰を上げた。アロンジェの方に向き直るが、近付いてはこない。
「あの、ロイバ」
「えーと、アロンジェ?」
礼を言おうとしたが、それより先にロイバルトが口を開いた。反射的に、アロンジェは口を閉ざす。
「あの後は、大丈夫だったか?何も無かったか」
「あ……はい。おかげさまで」
「そうか、ならいい」
小さく微笑むと、ロイバルトはその場から一歩踏み出した。
こちらに来る!
緊張してアロンジェは身を固くするが、ロイバルトはすっとアロンジェの脇をすり抜けて行った。そのまま控室の扉を開け、外に出て行ってしまう。
「え……あ、あのっ!?」
驚いてアロンジェが呼び止めるが、控室の扉はバタンと音を立てて閉じられてしまった。
「やっぱり……怒らせてしまったんでしょうか」
余裕が無かったとはいえ、自分の行動に非が無いとは言い切れない。落ち込むアロンジェだが、傍らのワルキューレは涼しい顔だ。ロイバルトが出て行った扉を見詰め、小さく苦笑する。
「あーあ、兄さんってば不器用なんですから。アロンジェさん、兄さんなら大丈夫ですよ?顔は怖いですけど、怒ってるわけじゃありませんから」
「そ、うですか?」
「はい。兄さん、アロンジェさんを怖がらせたくないだけだと思います。あの後、ずっと「怖がらせちまった」って気にしてましたから」
「そんな……そんなこと!」
ぶんぶんと首を横に振り、アロンジェはワルキューレの言葉を否定する。
リエンツィが言っていた通りだ。ロイバルトは、アロンジェが怖がっているものと勘違いしている。先程近寄ってこなかったのも、きっとアロンジェを気遣ってのことなのだろう。
「わ、私……ロイバルトさんに助けて頂いて。それなのに、きちんとお礼が言えなくて……それで」
言いながら、アロンジェはそわそわと扉の方に視線をやる。
追い掛けても良いのだろうか。迷惑じゃないだろうか?
迷うアロンジェの方にそっと手を置くと、ワルキューレは落ち着かせるように穏やかに言った。
「アロンジェさん。兄さんは、これくらいのことじゃ怒りませんから。大丈夫ですよ?話しかけたら、きっと喜びます」
「本当、に?」
「はい!兄さんってば、ずーっと気にしてましたし。安心させてやってください」
ワルキューレに促され、アロンジェは控室の扉へと駆け寄った。ガチャリと開いて顔を出してみると、もう何処かへ行ってしまったのだろう。ロイバルトの姿は見当たらない。
「……!」
きゅっと唇を噛み締めると、アロンジェは駆けだした。大丈夫、まだ追い付ける筈!


******


劇場の中を隅々まで探し回り、ロイバルトを見付けたのは舞台袖でのことだった。
必死で走ったせいで乱れた息をどうにか整え、アロンジェはロイバルトに声を掛ける。
「あ、あのっ!ロイバルトさん!」
名前を呼ぶと、ロイバルトは驚いた様子で振り向いた。やはりアロンジェに近寄ることは無く、少し離れた位置から返事をしてくる。
「お前、どうしてここに?他の奴等もいるだろ、早く戻……もしかして、部屋が分からなくなったか?それなら案内するぞ?」
こんな状況でも相手の心配をするロイバルトに、アロンジェの胸がぎゅっと締め付けられた。
ああ、こんなに優しい人に誤解されたままだなんて!
それが何だか悲しくて、アロンジェは絞り出すように言った。
「違っ……違います!私、ロイバルトさんとお話がしたくて……!それでっ……!」
「は?俺と?」
ロイバルトは信じられないといった顔だ。少し考えて、アロンジェに問い掛ける。
「えーっと、大丈夫なのか?随分と怖がってたように見えたけど」
「あれは、ロイバルトさんが怖かったんじゃないんです。ただ、腰が抜けてしまって、立てなくて。折角助けてくださったのに……すみませんでした!」
怖くなんてない。こんなに優しい人が、怖いだなんてありえない。
助けて貰って安心したこと。もう一度会うことができて嬉しかったこと。どうにか伝えようと、アロンジェは声を震わせ必死に言葉を紡ぐ。
「私、本当に怖くて、ロイバルトさんが助けてくださった時は本当にほっとして……こうして仲間のところに戻れたのも、全部、全部貴方のおかげなんですっ……!もう一度会いたくて、でも見付からなくて、リエちゃんに話を聞いた時は驚いて、舞台の上のロイバルトさんは格好良くて……ああ、もう。私、何を言ってるんでしょう」
言いたいことがありすぎて、もう頭の中がぐちゃぐちゃだ。瞳からはぼろぼろと涙まで零れている。
「だから、だからっ……!」
「あー、分かった。分かったから!そんなに泣くな」
ロイバルトは慌ててアロンジェに近寄ると、そっと涙を拭った。
アロンジェは一瞬だけ驚いたが、ロイバルトの大きくて温かい手は心地よく、ほっとする。
「ったく……別に、俺はお前が無事だってんならそれで良かったんだけどな」
「ロイバルトさん……」
「まさか、わざわざ捜してくれるとは思わなかったぜ。有難うな、アロンジェ」
「いえ、そんな。私はただ……」
ロイバルトに笑顔を向けられ、アロンジェの胸がどきどきと鼓動を速めていく。もう少しだけこの人と一緒にいたいと、心の奥で何かが告げた。
「あの、ロイバルトさん?」
「何だ?」
「私、お話したいことが沢山あるんです。その、ゆっくりになってしまいますけれど……聞いて、頂けますか?」
おずおずとアロンジェが尋ねる。ロイバルトは少々面食らったような顔をしたが……すぐに優しく目を細めて頷いた。


******


「じゃあね、伯父ちゃん。みんな。また来てね!」
ぶんぶんと手を振るリエンツィに見送られ、海賊団員達は帰路に就く。
前方を歩くキルケゴールとドレークに付いて行きながらも、アロンジェはどこか熱に浮かされたような様子だ。その異様な雰囲気に、アルビダは小声でアロンジェに尋ねる。
「アロンジェ?どうしたの、何かあったの?」
「え……?あ、いえ。その。何でもありません、よ?」
口ではそう言うが、アロンジェはどこか遠い目をしている。急に頬を染めたり、困ったように眉を顰めたり、誰が見ても様子がおかしい。これはもしかして。
「……ロイバルト」
「ひゃっ!!?」
アルビダがぼそりと呟くと、アロンジェはビクリと身を震わせた。パクパクと口を開閉し、アルビダを見る。
「ア、ルビダさん!?」
「あらまぁ。成程、そういう事なの」
くつくつとこみ上げる笑いを抑え、アルビダは優しい目でアロンジェを見詰める。そうか、この子にもそんな相手ができるなんて!
「海賊がまんまと盗まれちゃって、冗談にしても笑えないわよ?」
「ぬ、盗まれるだなんて……私は何も」
「しっかり盗まれたじゃないの。コ、コ」
とん、とアルビダの細い指がアロンジェの胸を指した。瞬間、アロンジェは白い肌を耳まで真っ赤に染め上げる。
「あ、あのあのあの、えっと」
「頑張りなさい?ああいうタイプって、はっきり言わないと伝わらないんだから」
「~っ!」
両手で顔を覆い隠すアロンジェに、今度こそ我慢ができずアルビダは笑い出す。
捜索作戦の次は、あの彼のハート奪取作戦かしら?
そんなことを考えながら、優しくアロンジェの肩を叩いた。
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橋谷あも

Author:橋谷あも
性別:女
誕生日:3月8日

やる気が出ると速いのに、やる気が出るのが遅い。
バシャーモ大好き。最近はトリミアンが熱い。

連絡は
amenotori338☆yahoo.co.jp(☆→@)
にどうぞ。

最近はツイッター中心に活動しています。
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・ダイヤ
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