寒シング

マリアージュ
マリアージュ(サーナイト♀)
OR旅パの紅一点。もうちょっとデザインいじりたいなぁ……
ヤンキー共に囲まれた、心優しい聖母系女子。皆の妹(孫)分として可愛がられつつ、他のメンバー達を兄の様に慕ってます。アクセル(バシャーモ♂)にフラグクラッシュされつつ片想い中。
あとはアクセルとバルバッドだけなんですが、盛大にデザイン詰んでますよね……どうしよう。繋ぎか特攻服着せたいんですけど。悩む。


追記に文章。
くろがみさん宅のブラッドレイさんとロリポップちゃんをお借りしています。王剣!王剣!!!
お前どんだけ書くんだよって思われそうですが、おいしいネタを沢山頂いたので……これは何もしない方が難しいレベル……!
じわじわとリオネルが闇堕ちキャラになりつつありますが、私は楽しいです。
保存転載等はくろがみさんのみご自由にどうぞ。改めまして、書かせて頂き有難う御座いましたー!



ミアレシティの細い路地を、小さな影が弾丸のように駆け抜けていく。
町中に張り巡らされた道も、それらが繋ぐ広場も、この町の者ですら完全に把握できているかは怪しいものだ。しかし、ロリポップにとっては何の問題も無い。彼女は道に限らず、この町のことならば隅々まで記憶している。足取りも軽く、最短経路を突き進んでいく。
本日向かうのは、数多く存在する広場の中でもちょっとした穴場。賑やかな他の広場と違い人通りの殆ど無いそこは、例えば昼寝をしたり、例えば誰にも内緒でお気に入りのお菓子を食べたり。ロリポップの秘密基地のような場所なのだ。
今日は何をしよう?着いたら早速、持ってきたおやつを食べようか?そんな事を考えながら、広場へと一歩足を踏み入れる。
その瞬間、ロリポップの眼前に鋭い剣先が突き付けられた。


「ひゃあっ!」
「あ……すっ、すみません!大丈夫ですかっか!?」
驚きのあまりロリポップが尻餅をつくと、剣を向けてきた人物もまた、慌てて謝罪の言葉を述べた。
「怪我は?ありませんか?すみません、誰も来ないと思って油断してましたた……」
剣の主は、若いギルガルドの女性だ。腕に絡まる布をふわりと払いのけ、ロリポップに手を差し伸べる。
「立てますかか?」
「えっと、うん。大丈夫だよー」
「よかったですです」
ほっと胸を撫で下ろす女性を、ロリポップはじっと見詰める。何だろう、この人……?
「ねぇ、おねーちゃん。ここで何してるの?」
こんな所で剣術の練習だろうか?でも、先程まで確かに持っていたはずの剣はいつの間にか見当たらなくなっている。不思議に思って訊ねると、女性は少しはにかんで言う。
「何、と言われるとと……はい。舞の練習なんですけどけど」
「まい?」
「はい。私、こう見えても役者なんですよよ!」
「役者さん!?本当!?」
女性の言葉にロリポップが目を輝かせる。間近で役者と会うのは初めてだ。
しかし、役者という割には見覚えの無い顔である。一度見た相手ならば、ロリポップが忘れる筈がないというのに……
「でも、テレビには出てないよね?見たことないもん」
素直に疑問をぶつけると、女性は嫌な顔ひとつせずに教えてくれる。
「私、役者は役者でも舞台役者なんですよ。だから、テレビには全然出ないんですです。えーと……掲示板とかに公演ポスターが貼ってありませんか?ガラテイアって劇団なんですけどけど」
「ポスター?あ、それなら見たことあるよ!」
確かに、町の至る所でポスターを見た。ロリポップは観に行ったことが無いが、最近人気の出てきている劇団の筈だ。
「へー。おねーちゃん、あそこの役者さんなんだ!」
「ですです!リオネルといいます、どうぞよろしくお願いしますす!」
「あたしはロリポップだよ!よろしくね!」
ロリポップが握手を求めて右手を差し出すと、リオネルも優しく握り返す。
こうしてロリポップだけの秘密の場所は、二人の秘密の場所となった。


「ネルネルー。いるー?」
「あ、ポップちゃん。こんにちはは!」
「こんにちははー!」
あれから数日。リオネルは毎日決まった時間に広場に来ていた。
「劇団って、お稽古する所は無いの?」
一度ロリポップがそう訪ねたことがあるが、リオネル曰く「ギルガルドは存在そのものが剣」なのだそうだ。
「とは言っても、私は斬れないんですけどねっね。それでも、狭い場所だとあまり思いきって舞うのは危ないんですです」
「だから広場に来てるの?」
「はい。ここなら十分広いですからから!」
そう言って笑うと、リオネルは舞の練習を始める。
日に日に磨きのかかっていく舞に、ロリポップは感嘆の声をあげた。
「凄い凄ーい!ネルネルキレーイ!」
「えへへ、有り難う御座いますます」
「ネルネルって、レイちゃんとは全然違うんだね。レイちゃん、こういうことしないもん」
「レイちゃん?」
初めて聞く名前に、リオネルが首を傾げる。
「うん!あのね、あたし、もう一人ギルガルドのお友達がいるんだ!」
「わわ、そうなんですかか?」
ロリポップの言葉に、リオネルは目を輝かせた。同族の存在が嬉しいのだろうか?今にも跳び跳ねんばかりの勢いだ。
「あ、あ!だったら、これどうぞですです!」
「え?なーに?」
リオネルは少し離れた場所に置いてあった鞄に駆け寄ると、その中から細長い封筒を取り出す。
ぎゅっとロリポップに封筒を握らせると、にこにこと笑って言った。
「これ、今度の公演のチケットですです!ポップちゃんにあげようと思って、持ってきたんですよっよ!」
「え!?ほんとほんと!?」
「はい!ほんとですです!ポップちゃんには絶対に観に来て欲しくって!」
「わーい、やったぁ!有り難うネルネル!」
まさかのプレゼントに、ロリポップは大喜びだ。封筒を受け取り早速中身を確認すると、今週末の公演のチケットが二枚入っている。
「あれ?二枚あるよ?」
ロリポップが指摘すると、リオネルはうんうんと頷く。
「折角ですし、家族か友達か、誰か御一緒できる方がいれば是非にと思いましてって。もしよければ、レイちゃんと一緒に観に来てくださいさい」
「わぁ!有り難う、絶対にレイちゃん連れてくからね!」
「はい!ご来場お待ちしておりますます!」
チケットを空にかざし、ロリポップはきらきらと目を輝かせる。
これは何としても、ブラッドレイを連れていかなければ!


******


「レイちゃん!週末ね、一緒に舞台観に行こー!」
開口一番誘いをかけるロリポップに、ブラッドレイは冷めた声で言う。
「私は興味ありませんよ」
「むっ!そう言うとは思ってたけど!」
「そう思うのなら、最初から誘わないでください」
ブラッドレイは本当に興味無さげだが、今回はリオネルに「友達を連れていく」と約束しているのだ。ロリポップも引き下がるわけにはいかない。
「ねーねー、行こう!行こうよー!」
「行きません。というか、行けないでしょう。週末分のチケットなんて、もう売り切れていますよ」
「ふっふーん。レイちゃん、これなーんだ?」
にやりと笑い、ロリポップはチケットを取り出した。ブラッドレイはそれを見て、怪訝そうな声で問う。
「ロリポップ、貴女どうしてそんなものを?」
「貰ったの!」
「誰から」
「レイちゃんと同じ、ギルガルドのおねーちゃんだよ!」
「ギルガルド、ですか……」
同族の名に、ブラッドレイが僅かにではあるが反応する。興味が湧いたのだろうか?
「あのね、そのおねーちゃん、"けんぶ"が得意なんだって!レイちゃんも興味無い?」
「……剣舞、ねぇ……」
剣舞。そう聞いた瞬間、ブラッドレイは視線を逸らした。
剣の舞。戦わない剣。そんなもの、ブラッドレイにとって何の価値も無い。そんなもので喜ぶのは……あの錆び付いた剣くらいだ。
「興味ありませんね。そんなに行きたければ、カルヴァリオと行ってきなさい」
「リオたん、その日は患者さんが来るからダメなんだって!というか、もうレイちゃんと一緒に行くって言ってあるもん!レイちゃんが一緒に来てくんなきゃやだーっ!」
やだやだ、とロリポップはブラッドレイに向かって半ば叫ぶように訴える。
「行こうよレイちゃん!良いでしょ、ちょっとくらい付き合ってくれても!絶対面白いからー!」
「嫌ですよ」
「やだやだやだやだやだやだやだやだ!レイちゃん来てくんなきゃ、やだぁぁぁ!!!」
ぐいぐいとブラッドレイの服の裾を引っ張り、ロリポップは叫び続ける。
しばらく放置していたが、このまま断り続けるよりも同行した方が楽だと判断したのだろうか。ブラッドレイは心底面倒臭そうに溜め息を吐くと、ロリポップに向かって言う。
「分かりました、一緒に行きましょう。ですから、少し静かにしなさい」
「ほんと!?やったー!レイちゃん大好きっ!」
ぱぁっと花が咲いたような笑顔を浮かべるロリポップに、ブラッドレイは再度溜息を吐くのだった。


******


「楽しみだねー!ね、レイちゃん」
「まったく……こんなもので喜ぶとは、まだまだ子どもですね」
観客席へと先導するロリポップに、ブラッドレイは呆れたような声で言う。待ちに待った公演日、ロリポップは朝からずっとこの調子だ。
「だって、こんなのなかなか観られないよ!?なんかドキドキするー」
「貴女が緊張してどうするんですか」
「えへへー。あ、そういえばレイちゃん。レイちゃんも来るって言ったら、ネルネル凄く喜んでたよ!頑張りますって言ってた!」
「そうですか」
舞なんて、いくら頑張っても意味は無いだろうに……何の役に立つとも思えないのだが。
ブラッドレイはそっと周囲の観客を見回す。誰も彼もが期待と興奮に満ちた顔をしているが、ブラッドレイにはまるで理解できない。
「一体、何が楽しいんでしょうかねぇ」
小さく呟いた声は、開演を知らせるブザーの音に掻き消えた。


下調べをしてくるどころか作品のタイトルすらブラッドレイはろくに覚えていないが、どうやらこの舞台は舞踊劇らしい。
一般人のレベルで見れば、役者達はそこそこ運動神経の良い部類に入るのだろうが……ブラッドレイからすれば、全員素人の動きだ。戦闘シーンもあるが、これが本物の戦場であれば五秒も待たずにあの世逝きだろう。
「……」
つまらない。
まだ途中だが、抜け出してしまおうか……?そんな事を考えていると、不意に袖口を引かれた。見れば、ロリポップが興奮した様子で小さく舞台を指差している。
「レイちゃん、ほら!」
声には出さず、唇の動きだけでロリポップが言う。舞台に視線を戻すと、そこにはギルガルドの役者――リオネルの姿があった。
舞台上で舞うリオネルは、ライトを浴びてきらきらと輝いている。広場で練習の為に舞っていた時よりも、もっとずっと生き生きとした表情だ。
「ネルネル、凄い!キレイー」
感心するロリポップの横で、ブラッドレイはまるで観察でもするかのように目を細める。
リオネルのあの動き。一見すると振付の通りに舞っているようだが、僅かに癖がある。足の運び方、体の捻り……
「錆びてはいるようですが……折れてはいない、と」
大したものとは言えないが、思わぬ収穫である。
まぁ、これに免じて途中退席はしないでおきましょう。
座席に優雅に腰掛け、ブラッドレイはニィ、と怪しい笑みを浮かべた。


******


「ネルネルどこかなー?っていうか、こっちから会いに行っていいのかな?」
「さぁ?私が知るわけないでしょう」
上演後、他の観客が次々と帰っていく中、ロリポップとブラッドレイは劇場のロビーに留まっていた。ロリポップ曰く「チケットのお礼と、感想言うの!あとレイちゃんの紹介しなきゃ!」とのことらしい。
「向こうから呼んだんですから、顔くらい見せに来るでしょう。おとなしく待っていたらどうです?」
「んー……そうかなぁ。……あっ!あれ、ネルネルじゃない?おーい!」
ぶんぶんと手を振り、ロリポップが走り出す。視線の先には、慌てて控室から出てきたのだろう。着替えもそこそこに手を振るリオネルの姿があった。
「ポップちゃーん!来てくれたんですねっね!有難う御座います!」
「もちろんだよっ!すっごく楽しかったよー!ネルネルもキレイだった!」
「わぁ、嬉しいですです!」
手を取り合いキャッキャと笑い合っていたが、ふとリオネルがロリポップに訊ねる。
「そういえば、お友達は?ご一緒なんですよね?」
「あ、うん。紹介するね!レイちゃーん!こっちこっち!はやく!」
ロリポップが呼ぶと、ブラッドレイは静かに静かに二人へと歩み寄る。
段々と近付いてくるその姿を捉え、リオネルの表情が凍り付いた。
「リッパー……!?」
「久しいですね、ラスティ」
予想もしていなかったブラッドレイの登場に、リオネルはロリポップを庇う様にぎゅっと肩を抱いた。険しい目で睨み付けるが、当のブラッドレイはまるで意に介していない。
「りっぱー?らすてぃ?……あれ、えっと。二人とも、もしかしてもう知り合い?」
ただ一人、状況を理解できていないロリポップが疑問の声を上げる。
「ポップちゃん。この人は」
「えっと、この人がレイちゃんだよ!レイちゃん、こっちがネルネル!」
「ロリポップ。どうせ紹介するなら、もっとちゃんとやりなさい」
「……どうやら、本当みたいですねね」
ロリポップの言う「レイちゃん」は、本当にブラッドレイの事らしい。ロリポップに危害が及ばないと判断したのだろう、リオネルはそっと彼女の肩から手を離した。
「ああ、確かに……ブラッドレイ、でレイちゃんですもんね……ね。間違ってはいないですけどけど」
「もっと早く気付かなかったんですか?まったく、斬れない上に体も頭もキレがないなんて最悪ですね。先程の舞台も酷いものでしたよ」
「うるさいですです!」
早速の嫌味にリオネルは眉間にシワを寄せる。何度顔を合わせても、どうにもこの男は苦手だ。
「何ですか、まさかそれだけ言う為に来たんじゃないでしょうねね?」
「ええ、勿論。……少し気になることがあるのでね」
「気になること、ですか」
どうせろくな事じゃないだろう。
リオネルの顔にはありありとそう書いてある。緊張を感じ取ったのか、ロリポップも気遣わしげにリオネルを見た。
「ネルネル、大丈夫?なんだかこわい顔してる」
「あ……はい。ええ。大丈夫ですです」
「レイちゃん、ネルネルのこといじめちゃダメだよ。ネルネル、終わったばっかりで疲れてるんだから!」
ロリポップがブラッドレイに言うが、ブラッドレイはバカにしたように鼻で笑う。
「あの程度のお遊戯で疲れるとは。これはこれは、貧弱すぎて頭が下がりませんね」
「レイちゃん!なんでそーいう事言うの!?」
ロリポップの叱責にも、ブラッドレイはさも当然といった顔だ。くい、と顎でリオネルを差す。
「本来の能力を放棄した挙げ句、錆び付いた剣など……滑稽にも程がありますよ」
「ほっといてくださいさい!」
「あーもう!ケンカしないでよ!」
険悪な雰囲気の二人に耐え兼ね、ロリポップが声を張り上げた。
「あたし、ネルネルの"けんぶ"、キレイでかっこよくて好きだよ!でも、レイちゃんも強くてかっこいい剣なの!どっちの方が良いとかないよ!」
二人を交互に見やり、ロリポップは切々と訴える。
「二人とも大好きだから、ケンカしてるのはやだよ!だから仲直りして!ねっ!」
「ポップちゃん……」
ぎゅっと手を握られ、リオネルは戸惑った顔でブラッドレイを見る。この男と、仲直りだと?
「ほら、レイちゃんも!」
「はぁ……」
ブラッドレイも興味が無さそうだ。それどころか、ロリポップの発言を至極面倒臭そうな顔で聞き流している。
「ちょっと!ちゃんと聞いてる!?」
「はいはい。……おや、そろそろですね」
適当にロリポップをあしらっていたブラッドレイが、何かに気付いたように呟く。
その直後、ロリポップはまるで糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。


「ポップちゃん!?」
慌ててリオネルがロリポップを抱き起こす。ロリポップの顔色は平常、息も普通にしている。というか……寝ている?
疑問符を浮かべるリオネルに、ブラッドレイは呆れたように言った。
「何ですか、その慌てようは。みっともない」
「普通、目の前で女の子が倒れたら慌てますます!というか、ポップちゃんは」
「寝てるだけですよ。ロリポップは決まった時間になると寝てしまうんです」
「そ、そうなんですかか……?」
驚いたが、寝ているだけだというのならば大丈夫だろうか。
リオネルは近くの待ち合い用の椅子にロリポップを寝かせると、改めてブラッドレイに向き合う。
「さて、ロリポップも寝たことですし。これで話し易くなりました」
「……一体、何の用ですです?さっき言ってましたよね、気になることがあるってって」
「ええ。その件ですが……」
言いながら、ブラッドレイは右手を突き出した。袖口から覗くのは、掌ではなく鋭い剣先。
「っ!」
反射的にリオネルも腕を振り上げた。白い肌を覆うように布が絡まり、その先端は鋭く尖っている。まるで一振りの剣のようだ。
キィンと高い音を響かせ、剣先がぶつかり合う。
「……やはり、か」
「な、何ですか!?」
納得がいった様子で呟くブラッドレイ。リオネルは、突然の攻撃に戸惑った声を上げる。
「やはり、貴女は錆び付いている。しかし……まだ折れてはいないようだ」
「……え?」
リオネルの背に、ゾクリと悪寒が走った。ブラッドレイはすぐに剣を下ろしたが、まだ油断してはいけない。
「貴女の剣舞を見せて貰いましたが、あれは御世辞にも舞とは言えませんでしたね。あれでは舞と言うより、剣術の型だ」
「なっ……!」
「戦闘用の剣だという事実は、一生変わらないということですよ。貴女も私も、ね。貴女の体には、戦う為の動きが染み着いて抜けなくなっている」
ブラッドレイの言葉に、リオネルは言葉を失う。
まさか。そんなことはない。私は。私は。私は私は私は……
「私は、もう、誰かを斬る為の剣にはなりません」
絞り出すように言うが、ブラッドレイは肩を竦めるだけだ。無言の否定に、リオネルは表情を歪める。
「とんだ戯言ですね。誰も斬らない?そんな事が本当にできるんですか?」
「でっ、できますます!」
「ほう。……ではラスティ。私はこれから、貴女のお仲間である劇団の方々を斬りに行きます」
「っ!?」
「……と、言ったらどうします?貴女は、このまま私を斬りますか?」
ブラッドレイが言い終わらない内に、リオネルは彼に掴み掛かっていた。剣先を彼の喉へと向け、怒りに満ちた眼を向ける。
「ほら。やはり貴女は、斬らずにはいられない」
微塵も慌てることなく、ブラッドレイは悠然とした態度でリオネルの手を捻り上げた。その痛みで冷静になったのか、リオネルは言い訳するかのように言葉を探す。
「これは……だ、誰だって、そんな事言われたら」
「そうですか?他にもあるでしょう。言葉で止めるもよし、人を呼ぶもよし。手段は数あると言うのに、貴女は迷わず剣を向けた。これについては、どう説明するつもりです?」
「…………」
悔しげにブラッドレイを睨むが、リオネルの口からは言葉が出てこない。ほんの少ししか話していない筈なのに、この疲労感は一体何だろうか?
「ラスティ。我々剣は、動機や目的は違えど出来ることは限られています。刀身を振るい、斬る。それだけです」
「そんなことないですです、私は斬りません!舞台で舞うのが私の仕事ですものの!リッパーだって、さっき観てたでしょう!?」
「ええ、実に滑稽でしたよ?本来ならば返り血を浴びるべき剣が、あのようなライトを浴びて人気者気取りとは」
「なんっ……!?」
「勘違いしないことですね。いくら錆びようと、飾りに徹しようと、貴女の本質は剣。それ以上でも以下でもない」
冷たく響くブラッドレイの言葉に、リオネルは今にも泣き出しそうだ。信じていたものを一瞬で壊されたような気分になり、両腕から力が抜けていく。剣が、自分自身が、とても重くて煩わしい。
ブラッドレイは薄く笑みを浮かべ、リオネルの肩に手をやる。凍り付く彼女の耳元へと、低く鋭く囁いた。
「錆び付いた剣が、今後どう生きるか死ぬか……そこはまぁ、自由になさい。私は無理強いするつもりはありません。ただ、一つ言えることは」

「貴女にとっての一番の舞台は、戦場だ」



******


「うーん……あれ?あたし、寝ちゃったんだ。ここどこ?」
「もう広場まで来ましたよ。起きたのなら自分で歩きなさい、ロリポップ」
ロリポップが目覚めると、ブラッドレイに抱えられ帰路に就いていた。地面に下ろされ、ブラッドレイの隣を歩く。
「ざんねーん。もっとネルネルとお話したかったのに」
「そんなもの、また会いに行けばいいでしょう」
「んー、それもそっか。……そういえば、あたしが寝ちゃったあとはどうしたの?レイちゃん、ネルネルのこといじめてないよね!?」
ロリポップが訊ねると、ブラッドレイは心外だとでも言いたげな様子だ。
「いじめるだなんて、失礼なことを言わないで欲しいですね。仲良く話をしただけですよ」
「仲良く?本当に?」
「勿論」
「ふーん……ならいいけど!」
仲直りできたのかな?ロリポップはそう判断し、この話題を断ち切った。
「さ、はやく帰ろー!リオたんにも、舞台のこといっぱい話さなきゃ!」
ずんずんと先へ歩いていくロリポップをゆっくりと追い掛けながら、ブラッドレイは小さく唇の端をつり上げる。
「ええ、話しましたよ。……それはもう、仲良く、ね」
まだまだこびりついた錆は落ちそうにないが、あれは磨けば良い剣になりそうだ。
「どうせなら、私を楽しませて欲しいものですね……それまでに折れないよう、精々気を付けなさい、ラスティ」
新しい玩具を手に入れた子どものような。それとも、獲物を見付けた肉食獣のような。
冷酷かつ獰猛な呟きは、広場を吹き抜ける風にさらわれていった。
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橋谷あも

Author:橋谷あも
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誕生日:3月8日

やる気が出ると速いのに、やる気が出るのが遅い。
バシャーモ大好き。最近はトリミアンが熱い。

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