正月休み

年賀状
今年のオフ友向けの年賀状。
毎年絵柄は創作で十二支イメージしてたりしてなかったりなんですけど、今年はまるで…申年っぽさが無い……(>_<)
正月休みも今日までで早速しょんぼりしてますが、今年も一年頑張りたいです。


追記に文章。
くろがみさん宅のお子さんをお借りしています。また王剣だ!
リオネルの闇堕ちネタをいつか書きたいと思っていて、やっと形にすることができました…満足(*ノωノ)
素敵なお子さんをお貸し頂き、有難う御座いました!



剣とは何か。
剣とは何の為に存在するのか。
剣とは誰の為に存在するのか。
その答えが、貴女には分かりますか?
「はぁ……」
ぐったりとテーブルに突っ伏すリオネルに、向かいの席に座った阿修羅姫は苦笑を浮かべる。
数年前、僅かな時間ではあるが師弟関係を結んでいた二人は、再会した後も良好な関係を築いていた。阿修羅姫はそっと右手を伸ばすと、リオネルの乱れた前髪を整えて言う。
「お疲れね、リオネル?」
「まったくですです……なんでリッパーはいつもああなんでしょうかねね?」
不貞腐れたような様子で、リオネルは溜息を吐いた。
先程まで、リオネルはリッパーことブラッドレイと口論を繰り広げていた。顔を合わせれば喧嘩となる二人だ、本日の争いのきっかけはもはや覚えてすらいないが、あまり大したことではなかった気がする。
「そんなことで剣と言えるのですか?だなんて、余計なお世話ですです!私はリッパーみたいな凶器になるつもりは無いんですからから!」
ブラッドレイの口真似をして、不快そうにリオネルは唇を尖らせる。思い出せば思い出すほど、ブラッドレイの言葉はリオネルの心を掻き乱すばかりだ。
阿修羅姫はリオネルの頭を優しくなでると、「気にしなくていいわよ」と微笑む。
「あの嫌味ったらしい王剣様の言う事なんて、真に受けなくていいからね。リオネルは今のままでも十分頑張ってるじゃない」
「しゅ、修羅さん……!」
「偉いと思うわよ?舞の稽古だって、ちゃんと続けてるんでしょ?」
「はい!勿論ですです!」
先程までの不機嫌な顔はどこへやら、リオネルは花が咲くような笑顔を浮かべた。がばりと上半身を起こし、弾んだ声で言う。
「しっかり稽古はしてますよよ!私も修羅さんみたいに、立派な……」
「……リオネル?」
突然言葉が途切れたリオネルを、阿修羅姫が訝しげに覗き込んだ。リオネルは何かを考え込んでいる様子で、遠い目をしている。
束の間の静寂の後、ぽつりとリオネルが呟いた。
「……修羅さんは、何の為の剣ですかか?」
「え?」
「……あ、いえ。何でもないですです。そんなことより!」
前言を撤回するように首を振り、リオネルは阿修羅姫に笑顔を向けた。一瞬見せた憂い顔は、微塵も感じられない。
「修羅さんご存知ですです?大通りに、新しいカフェができたらしいんですよよ。私、まだ行ってなくて……修羅さんさえ良ければ、一緒に行ってくれませんかか?」
「カフェ?」
少々強引ともいえる話題転換だが、あえて言い難い話題を続ける必要もあるまい。阿修羅姫はそう判断し、リオネルの話に相槌を打つ。
「はい!アンティークカフェ、って言うんですかねね?骨董品が沢山飾ってあるんだそうですです。古い剣なんかも置いてあるみたいですよよ」
「へぇ……面白そうじゃない。いいわね、行ってみましょうか」
「わぁい!えーと、それじゃあ明後日のお昼なんて如何ですかか?明日はあんまりお天気良くないって天気予報で言ってましたからから」
「明後日ね?分かったわ。予定、空けておくわね」
「はい、楽しみですです!それじゃあ修羅さん、また明後日にに!」
元気よく椅子から立ち上がると、リオネルは劇場への帰り道を駆け抜けていった。
その背中を見送りながら、阿修羅姫は小さく呟く。
「本当にもう……ブラッドも、どうしてリオネルに対してあんな態度取るのかしらね?」


劇場への帰り道を、リオネルは速足で進んでいく。
「私が何の為の剣かだなんて……リッパーには関係無いですです」
先程の口論の中でブラッドレイに向けられた言葉を思い出し、リオネルは小さく拳を震わせた。阿修羅姫の前では抑えていたが、やはり彼に対する反抗心は拭い去ることができない。
剣とは何か。
剣とは何の為に存在するのか。
剣とは誰の為に存在するのか。
「その答えが、貴女には分かりますか?」
耳元でブラッドレイの声が聞こえた気がして、リオネルは曲り角で足を止める。
「私は……」
考え事に没頭して、周囲への配慮が疎かになっていたのかもしれない。不意に腰に衝撃を受け、リオネルは現実へと引き戻された。
「きゃっ!」
「きゃんっ!」
何か……いや、誰かとぶつかったようだ。慌てて視線を向けると、十歳程だろうか?小さな男の子が尻もちをついていた。
「ああ、ごめんなさいさい!怪我はありませんかか?」
リオネルが手を伸ばすと、少年はにこりと笑って言う。
「大丈夫じゃ。すまんかったのう、お嬢さん」
「え?あ、いえ……こちらこそ失礼しましたた」
年寄りがかった口調に少しだけ面喰いながら、リオネルは少年の手を取り立ち上がらせる。この少年、まだ子どもだが既にギルガルドに進化しているようだ。リオネルとしては、同族に優秀な子どもがいるのは誇らしく感じる。
少年は立ち上がると、リオネルの手を握ったままじっと顔を見詰める。
「あの、顔に何か付いていますかか?」
リオネルが訊ねると、少年は「ああ」と頷き手を離した。
「いや、何でもない。互いに気を付けような、お嬢さん」
「そうですねね。えーと、それじゃあ、失礼しますます」
少年に頭を下げると、リオネルはゆっくりとした足取りで通りを歩いて行った。
「……」
少年はリオネルが歩いて行った方向を確認すると、すっと踵を返し近くのカフェのテラス席へと向かう。
テラス席には、新聞を広げたガブリアスの女性がいるだけだ。少年は女性へ近付くと、喜びをにじませた声で言う。
「アデラ、見付けたぞ。間違いない」
「そうかい。それは良かった」
アデラと呼ばれた女性は、綺麗に新聞を畳むと一冊のファイルを取り出した。ぱらぱらとファイルを捲り、一枚の書類を取り出す。
「剣と少女伝説の続き、存分に見せて貰おうか」
取り出された書類には、クリップでリオネルの写真が留められている。少年はその写真を見詰め、唇の端を吊り上げた。


**********


天気予報が的中し、重い雲が空を覆う。
劇場の前で空を見上げながら、リオネルは小さく伸びをした。たとえ天気が悪くとも、日課となっている稽古をさぼるわけにはいかない。
「さ、今日も一日頑張りますます!」
ジゼルに頼んで作って貰った弁当を持ち、いつもの稽古場である広場へと向かう。この天気だと、今日はロリポップもいないだろう。一人ならば、遠慮することなく剣を抜くことができそうだ。
重く纏わりつくような空気とは相反して軽い足取りで、リオネルは広場へと足を踏み入れる。
「えへへ、一番乗りですです。って、そもそも一人ですけどけど!」
「残念じゃが、一番乗りではないぞ?」
「えっ!?」
リオネルが大きな声で独り言を漏らすと、予想外の返事があった。
驚いて広場を見渡せば、広場に繋がる路地の入口に誰かいるようだ。よく目を凝らしてみると、見覚えのある小さな体躯。
「あっ……昨日のの!」
「また会ったのぅ」
路地からゆったりとした足取りで出てきたのは、昨日の帰り道にぶつかった少年だ。
少年はリオネルの前まで歩み寄ると、にこりと笑みを浮かべる。
「な、わしの名は村雨という。……どうじゃ、聞き覚えはないかの?」
「村雨君、ですかか?えーと……多分ですけど、初めて会ったのは昨日ですよねね?」
古い記憶まで掘り起こしてみるが、聞き覚えの無い名だ。リオネルが素直に答えると、村雨はあからさまに落胆した様子を見せる。
「なんと……!このわしを、こんなに可愛いわしのことを本当に忘れておるとは!」
「え?あのあの、私達、どこかでお会いしましたかか?」
「どこかも何も、ずっと一緒におったではないか!ああ、ああ!薄情者めっ!わしは悲しいぞ!」
涙を浮かべて訴える村雨に、リオネルは首を傾げる。
何せ、本当に見覚えが無いのだ。リオネルの最も古い記憶は、ブラッドレイに剣の指導を受けていた幼少期のもの。村雨の年齢を考えるに、それ以前に出会っている筈は無いのだが……
「ご、ごめんなさいさい。でも、あのあの。人違いじゃありませんかか?」
「わしがお主を間違う筈なかろう!ええい、そこに座れい!」
広場脇のベンチを指し、村雨が怒鳴る。リオネルが言われた通りにベンチに腰掛けると、村雨も隣に腰を下ろした。
「……さて、まずは何から話そうかの?とりあえず、念の為に確認だけしておくか。リオネル、お主はどこまで覚えておる?」
「どこまでって、何がが……?っと、というか、私の名前!?どうしてご存知なんですかか!?」
「知っておるさ。ああ、知っておる。お主の事は何でもな」
リオネルの瞳をじっと見詰め、村雨は言う。あまりにも真っ直ぐな瞳に眩暈がしそうだ。リオネルは軽く眉間を押さえ、村雨に問う。
「何でもってて……。村雨君、私のファンだったりするんですかか?」
「ファン?いやいや、そんなものではない。確かにお主は役者だがな、わしは別に演技力を買っているわけではないからの」
「それも傷付きますます!で、でも、ファンでもないならどうして私の事をを?」
「じゃから、言ったじゃろ?ずっと一緒におったからの。知っていて当たり前じゃて」
「ずっと……」
「そうじゃな……考えてみい、リオネル?お主はいつから、どの様にして『リオネル』となったんじゃ?」
村雨の問いに、リオネルは疑問を抱きつつも答える。
「いつからって……そりゃあ、生まれた時からですです」
「では、その前は?『リオネル』として生まれる前のお主は、一体何者だった?」
「生まれる前なんて、そんなの知りませんよよ。存在してなかったんじゃないですかか?」
「……お主、考えが足らんと言われたことはないか?」
村雨の呆れたような顔に、リオネルはぐっと言葉を詰まらせる。何だろう、この問答は少しだけブラッドレイを彷彿とさせた。
「リオネル。お主はヒトツキがどの様に生まれるか知っているか?」
ヒントなのだろうか?村雨の言葉に、リオネルは頷いて答える。
「そんなの、卵から生まれるに決まってますます。ヒトツキに限らず、ポケモンは皆そうですよよ?」
「そうじゃな、生まれつきのヒトツキ族はそうじゃろう。ヒトツキ族の両親から生まれた子は、卵から孵る」
「ですねね」
「じゃあ、生まれつきヒトツキでない者はどうじゃ?」
「え?」
生まれつきヒトツキでない者。そんな者がいるのか……そう考えた時、脳裏に浮かんだ二人の顔。
そういえば、詳しい事は知らないがブラッドレイと阿修羅姫は元々人間だったという。人間からヒトツキへなった彼らは、卵から孵ってなどいない筈だ。
「何か思い当たる節でもあったか?」
「……まぁ、多少はは」
にやりと口の端を吊り上げる村雨に、リオネルはつい視線を逸らす。
「ヒトツキの生まれ方にはいくつかの種類があるが、その中のひとつにな、剣に魂が宿って生まれるというのがあるんじゃ」
リオネルの反応に気を悪くした様子も無く、村雨は言う。
「斬られた者、所有者、はたまた刀匠の魂……まぁ、そこは時と場合によるからな。割愛するが。魂の宿った剣がヒトツキとなることも珍しくはないんじゃよ」
「はぁ……。で、それが何ですです?もしかして、私がその剣に魂が宿って生まれたヒトツキだとでも言うんですかか?」
まさかそんなことはないだろう。しかし、言われてみれば両親の顔など思い出せない。それどころか、親という存在自体考えたことが無かった。
リオネルの反応に、村雨は満足そうに笑う。
「ふむ。お主、思ったよりは話が分かるようじゃな」
「ええーっ!?」
「なんじゃい、騒々しい」
「わ、私、本当にそんな生まれ方してるんですかか?」
驚くリオネルに、村雨は深く頷く。
「うむ。間違いないぞ」
「えっと、じゃあ、村雨……さんはそのその。剣に宿った魂……ヒトツキになる前の私とお知り合いだった。とかですかか?」
となると、一体村雨は何歳なのだろう?そんな疑問も浮かびつつ、リオネルは問い掛ける。
村雨はぷるぷると首を振ると、少しだけ遠い目をして言った。
「惜しいな。わしが知っているのは、魂ではなく剣の方じゃよ」
「剣?」
「うむ。お主がただの剣だった頃、それはそれは美しくよく斬れる剣でなぁ。何か良い魂があれば、それを宿してヒトツキにしてやろうと考えておった。……だのに!」
ぐっと拳を握り、村雨はリオネルを見詰める。怒りか、悲しみか。複雑に揺れる瞳にリオネルは息を呑んだ。
「奪われた。お主はヒトツキになる前に、わしの許から奪われてしまった!しかも、あろうことかそのような娘の魂を宿してしまうとは!」
ベンチから立ち上がり、村雨はゆっくりと振り返る。村雨が身体を捻ると同時に、広場にしゃらりと金属の擦れるような音が響いた。
「村雨、さん……?」
「返してもらうぞ。わしの剣は、このような錆だらけの鈍ではない筈じゃ」
振り返った村雨は、先程までの小さな少年の姿をしていなかった。細身だが、見上げる程の長身。切れ長の目。そして何より目を引くのが、明るく輝く長い金髪。
一瞬にして少年から青年へと姿を変えた村雨は、口元だけを歪ませて笑った。
「さぁ、共に行こうぞ。お主の居場所はここではない」


**********


前日に空を覆っていた雲はすっかり消え失せ、青空には太陽が輝いている。
リオネルとカフェに行く約束をしていた阿修羅姫は、待ち合わせの時間より少し早めにガラテイア劇場を訪れていた。公演日ではないが、売店や案内カウンターは営業している為、入口は開いている。劇場の中に入ると、阿修羅姫はきょろきょろとロビーを見渡した。
「……リオネル、まだかしら?」
いつもなら時間より早くロビーに待機しているのに、珍しい事もあるものだ。
ひとまず待ち合わせ時間まで待ってみよう。そう思い阿修羅姫が待合用の椅子に腰掛けていると、廊下の向こうからカツカツと足音がする。リオネルが来たのだろうか?
「遅いじゃない、リオネ……」
「おや。貴女は確か、ネルの」
言いながら阿修羅姫が顔を上げると、そこにいたのはリオネルではなく。
「えっと……ピグマリオン座長、で良かったかしら?」
「ええ。いらっしゃいませ、漆黒の御婦人」
大仰に礼をするピグマリオンに、阿修羅姫も慌てて立ち上がり頭を下げる。
戦場とは無関係な職業でありながらも、ピグマリオンはリオネルの王である。ここで礼を欠いては、リオネルに迷惑がかかってしまうだろう。
阿修羅姫がちらりとピグマリオンの顔を覗き見ると、彼は少しだけ安堵したような表情で言った。
「良かった。ご挨拶に伺おうと思っていたのですが……何分、お住まいを存じておりませんもので。昨日はネルがお世話になりました」
「え?」
「無断外泊なんて、今まで一度もしたことがなかったんですがね。いやはや、驚きましたよ」
ピグマリオンの言葉に、阿修羅姫は首を傾げる。
はて、昨日は一度たりともリオネルには会っていない筈だが……。無断外泊、とピグマリオンは言っただろうか?
「あの。もしかして、昨日リオネルが帰ってこなかったの?」
「え?」
今度はピグマリオンが首を傾げた。
両者無言で見詰め合い、数秒経った頃。ピグマリオンが低い声で言った。
「御婦人。申し訳ありませんが、少々お時間を頂けますか?お伺いしたいことが御座いまして」
「……ええ、私もよ」
阿修羅姫も深く頷く。
ピグマリオンは阿修羅姫を待合用の椅子に座らせると、隣に腰掛けて口を開いた。
「昨日の午前中、ネルが稽古に行くと言って外出しましてね。それ以降、連絡が付かないんです」
「そんな、まさか」
リオネルのことだ、少し帰りが遅くなるだけでも必ず劇場に連絡を入れる筈。それが連絡が付かないとなると、ただ事ではなさそうだ。
「てっきり、御婦人方のお宅にお邪魔していると思っていたのですが……どうやら違うようだ」
「ええ。昨日はリオネルが来るどころか、見かけてもいないわ。声も聞いてない」
「そうですか……」
右手で口元を覆い、ピグマリオンは渋い顔を見せる。余程リオネルの事が心配なのだろう。
「リオネルは稽古に行くって言ってたのよね?」
阿修羅姫が確認すると、ピグマリオンは頷く。
「ええ。その為に、他の団員に弁当を頼んでいましたから。間違いありません」
「そう。……分かったわ、私の方でもリオネルを捜すから。……だから、そんな顔しないで頂戴」
気遣わしげに言う阿修羅姫に、ピグマリオンは小さく微笑む。
「有難う御座います、御婦人。もし何か分かったら、ご連絡ください」
「ええ、必ず」
阿修羅姫は頷くと、椅子から立ち上がった。ぐずぐずしてはいられない、一刻も早くリオネルを見つけ出さねば!
ピグマリオンに別れを告げると、阿修羅姫は劇場を出て大通りを見渡す。
リオネルの稽古場については、確かロリポップが前に話していた。あまり人のいない広場らしいが、目撃者の一人くらいはいるかもしれない。
「聞き込み……となると、誰かに手伝って貰った方がいいかしらね?」
色違いの身では、情報収集もままならない。
「事情が分からない以上、ロリポップは巻き込めないし。ブラッド……は、ああだものね」
となると、残るはカルヴァリオ。不運な偶然が重なった結果リオネルとの接点は少ないが、あの三人組の中で頼れそうなのは彼くらいだ。
ひとまず、カルヴァリオに相談してみよう。そう決心し、阿修羅姫は彼の診療所への道を急いだ。道中すれ違う人々を確認するが、その中にリオネルの姿は無い。
「リオネル……どこに行ったのかしら」
最悪の展開が脳裏を過り、小さく身を震わせる。幾度も足を止めながら、阿修羅姫はカルヴァリオの診療所に辿り着いた。
「カルヴァリオ、居る?」
扉を叩き呼び掛ける。返事は無いが、扉の向こうで人が動く気配がする。阿修羅姫が半歩後退ると、小さく音を立てて扉が開いた。
「カルヴァ……」
「何か御用ですか、修羅?」
「ブ、ブラッド!?」
大きな声を上げ、阿修羅姫は目を瞬かせる。診療所から出てきたのは、カルヴァリオではなくブラッドレイだ。驚いて立ち尽くす阿修羅姫に、ブラッドレイは小さく肩をすくませる。
「何をぼんやりしているんですか。カルヴァリオに用があるのでしょう?さっさと中に入ったらどうです」
「そ、そうだけど……。なんでブラッドがここに居るのよ?」
「私が居てはいけませんか」
押し込むように阿修羅姫を招き入れ、ブラッドレイは扉を閉める。ブラッドレイの体が目隠しになっていたが、どうやらカルヴァリオも診療所の中に居たようだ。新たな来客に、小さく微笑みを浮かべる。
「やぁ、いらっしゃい。俺に用があるなんて珍しいね?」
カルヴァリオは阿修羅姫に椅子を勧めると、手早くテーブルの上に置かれたチェス盤を片付け始めた。何故ブラッドレイがいるのか疑問に思っていたが、おそらく二人でチェスをしていたのだろう。
「カルヴァリオ、実は少し頼みがあって……」
椅子に腰掛けると、阿修羅姫は早速事情を説明する。リオネルが居なくなった事、捜す手助けをしてほしい事――。
粗方事情を呑み込むと、カルヴァリオは戸惑ったように眉間に皺を寄せた。
「それは……手伝うのは構わないけど、あまりにも情報が少なすぎる。聞き込みをしようにも、相当苦労しそうだ」
「そうだけど、でも、他に方法も無いのよ」
「放っておけばいいのでは?馬鹿でなければ、自分の家までの帰り道くらい分かるでしょう」
「あんたは黙ってて!」
興味無さげに言い放つブラッドレイを、阿修羅姫は鋭く睨み付ける。
「ブラッド、リオネルのことが心配じゃないの?あの子が何も言わずに居なくなるなんて、どう考えてもおかしいでしょ!」
「別に、興味ありませんね。もしそれで何かあれば、対処できなかったラスティの力不足に他ならない」
「このっ……!」
今にも阿修羅姫がブラッドレイに掴み掛ろうとした瞬間。
「リオたーん!……あれ?レイちゃんとしゅららんもいる!」
診療所の扉が開き、小さな影がするりと入り込んできた。阿修羅姫は手を止め、扉の方へと顔を向ける。
「あっ……ロリポップ」
「やっほー!しゅららん!」
ロリポップは睨み合うブラッドレイと阿修羅姫を交互に見やると、カルヴァリオに問う。
「ねぇ、リオたん。レイちゃん達、何してるの?」
「うーん……ま、ちょっとした痴話喧嘩みたいなものだよ」
「そっか。……あ、そうそう。ねぇしゅららん?」
ロリポップは阿修羅姫の袖を小さく引き、大きな目をぱちぱちと瞬かせる。
「何?」
「しゅららん、今日はネルネルとお出掛けじゃなかったの?」
「えっ……と、ね。実はちょっと……」
無邪気に問うロリポップに、果たして事情を説明していいものだろうか?まだ状況が把握しきれていない以上、危険が待ち構えている可能性もある。不用意にロリポップを巻き込みたくはない。
言葉に詰まる阿修羅姫をよそに、ロリポップは言う。
「早く行った方がいいよ?さっき来る途中にネルネル見たけど、待ちきれなかったのかな?先に行ってるみたい」
「……え?ロリポップ、リオネルを見たの!?」
ロリポップの言葉に、阿修羅姫は身を乗り出す。
ロリポップは状況が飲み込めない様子だが、詳細を話してくれた。
「うん。さっき、エテアベニューの方にいたよ。声掛けたんだけど、気付かなかったみたいで歩いてっちゃった」
「エテアベニュー……」
「彼女は一人で歩いていたのかい?それとも、誰かと一緒だった?」
カルヴァリオが訊ねると、ロリポップは右腕を高く上げて掌が水平になるよう手首を折った。どうやら、何かの大きさを表現したいらしい。
「あのね、これくらいの大きさのギルガルドの男の子と一緒だったよ。おかっぱ頭で、しゅららんみたいな袖の服を着てた」
「私みたいな?」
「うん。しゅららんの知り合い?」
阿修羅姫は記憶を辿るが、そのようなギルガルドには心当たりが無い。まさか、そのギルガルドがリオネルを連れ去った犯人なのだろうか?
「ロリポップ、他に何かおかしな点はありませんでしたか?些細な事でも構いません」
同族の名が出てきたせいだろうか?今まで黙っていたブラッドレイが口を開く。問われたロリポップは顎に人差し指を当て考えていたが、やがてぽつりと言った。
「髪の毛が変だった」
「髪?」
「うん。ほら、ネルネルの髪って、ちょっと色が暗いでしょ?だけど、さっき見た時はもっと明るくて宝石みたいにぴかぴかしてた」
明るく、ぴかぴかと輝く髪。その言葉に、阿修羅姫とブラッドレイは顔を見合わせる。
リオネルの髪の輝きは、そのまま彼女の刀身の具合を表しているのだ。戦闘意欲を失い錆び付いた刀身を持つリオネルの髪は、それを反映して暗い色合いをしている。その髪が――刀身が、磨き上げられたとでもいうのだろうか?
「まさか、そんな。リオネルがそんなことするとは思えないわ」
戸惑う阿修羅姫に、ブラッドレイは静かに腕を組む。確かに阿修羅姫の言う通り、リオネルが自ら錆を落とすとは考えられない。
「……カルヴァリオ。貴方の意見を聞かせて頂いても?」
ブラッドレイが問うと、カルヴァリオは「確信は無いけど」と前置きして言った。
「彼女と一緒に歩いていたっていうギルガルド、そいつが犯人だと思うよ。ほら、ギルガルドって霊力で人を操れるんだろう?それで催眠状態にして連れ去ったって考えるのが自然かな。髪が輝いてるっていうのも、何か暗示を掛けられて無理矢理そうさせられているのかもしれない」
「……だとすると、少し面倒ね」
連れ去るだけならまだしも、わざわざ錆を落としているのが引っ掛かる。リオネルを武器として利用するつもりなのだろうか?
阿修羅姫の不安を察したのだろう、カルヴァリオはブラッドレイの背中を軽く叩いて言った。
「捜しに行くなら、念の為二人で行った方がいいよ。そのギルガルドの実力が分からない以上、警戒するに越したことはないからね」
「カルヴァリオ、どうして私も行く流れになっているんです?」
「いいじゃないか、弟子なんだろう?それに、もし彼女まで連れ去られるような事があったら……ね?」
ちらりと阿修羅姫に視線をやり、カルヴァリオは悪戯っ子のような目で微笑む。ブラッドレイは小さく溜息を吐くと、不安顔の阿修羅姫に声を掛けた。
「行きますよ、修羅」
「ブラッド」
「仕方ありません、手伝いましょう」
安心したようにほっと肩を下ろす阿修羅姫に、ブラッドレイは小さく肩を竦める。リオネルはともかく、確かに阿修羅姫にまで何かあってはいけない。
「さ、早く行くわよ!」
「まったく、せっかちなことだ」
阿修羅姫に背中を押され、ブラッドレイは診療所の扉を開いた。


ロリポップからの情報を頼りに、阿修羅姫とブラッドレイはエテアベニューへと向かう。
この通りは多くのカフェが並ぶせいか、人通りも多い。一件ずつカフェを覗き込みながら、リオネルの姿を捜していく。
「リオネル、どこに行っちゃったのかしら」
阿修羅姫が覗き込んだ店は、リオネルと行く予定だったアンティークカフェだ。もしやと思ったが、店内に彼女の姿は無い。肩を落とす阿修羅姫に、ブラッドレイは静かな声で言う。
「修羅、まだ遠くには行っていない筈です。諦めるには早すぎる」
「諦めてなんかいないわよ。絶対見付けてやるんだから!さ、次に行くわよ!」
気を取り直した阿修羅姫が一歩踏み出す。その瞬間、足元に何かが飛び込んできた。
「っ!」
「きゃっ!」
咄嗟にブラッドレイが阿修羅姫を抱き寄せ、飛び込んできたものを確認する。阿修羅姫の足元に転がっていたのは、小さな弁当箱だ。
「べ、弁当箱……?どうしてこんな物が」
不思議に思いつつ、阿修羅姫が弁当箱を拾い上げる。弁当箱には特に不審な点は無いが、一体誰が投げ付けてきたのだろうか?
きょろきょろと辺りを見回していると、アンティークカフェのテラス席から声が聞こえた。
「忘れ物だよ」
「え?」
阿修羅姫は声のした方に振り向くが、目の前にはブラッドレイの大きな背中が広がるばかりだ。阿修羅姫を背後に庇う様に立ち、ブラッドレイはテラス席を睨み付ける。
「……何か御用で?」
「だから、忘れ物だよ。折角届けてあげたんだ、感謝してほしいくらいだね。あ、中身は美味しく頂いたよ」
声の主はガブリアスの女性だ。手にしたカップをソーサーに戻すと、静かに席を立つ。
「最近の剣は良いものを食べてるんだね。というか、あの劇団が、かな?」
「まさか……」
阿修羅姫は手にした弁当箱を見詰め、記憶を辿る。そういえば、ピグマリオンが言っていた。リオネルは出かける際、弁当を持って出て行ったという。
ブラッドレイの背中越しに阿修羅姫が睨むと、ガブリアスの女性は小さく笑って言った。
「おお、怖い怖い。君の恋人は随分と気性が激しいんだね?ジャック・ザ・リッパー」
「貴女……何者ですか?」
ブラッドレイはそっと右手を刃に変え、半歩前に出る。何故その名を知っているのか、何が目的なのか?分からないことだらけだ。
女性は唇の端を吊り上げると、降参するように両手を上げる。
「止めてくれないかな?白昼堂々殺人劇なんて演じたくないよ。怒らせたなら、そうだね……お詫びとして、君たちの質問に三つまで答えてあげるよ。私に分かる事なら何でも、ね」
「何でも、ですか」
「そう、何でも。多分、君達の知りたい事は全部知ってると思うよ?」
挑発的な女性の言い分に、ブラッドレイは眉を顰めた。ちらりと阿修羅姫に視線をやると、こちらもまた不安そうにブラッドレイを見上げている。
「どうする?別にいいって言うなら、私は構わないよ。ただ、あまりのんびりしていると手遅れになるかもね」
「ブラッド……仕方ないわ」
他に有力な手がかりも無い。怪しいが、今はこの女性の誘いに乗るしかなさそうだ。
「……いいでしょう。では、まずひとつ」
すっと人差し指を立て、ブラッドレイは問う。
「貴女と、ギルガルドの少年もお仲間かと思いますが。一体何者ですか?」
続けて、ブラッドレイは中指を立てる。
「ふたつ、貴女の目的は何でしょうか。何故ラスティを連れ去ったのです?」
最期に親指を伸ばし、ブラッドレイは問うた。
「みっつ。今現在のラスティの居場所を教えて貰いましょうか?」
ブラッドレイの問いを咀嚼するように、女性はゆっくりと頷いた。
「うん、無駄のない質問だね。嫌いじゃないよ」
「それはどうも。さぁ、答えなさい」
「そう急かさないで欲しいね、ちゃんと答えてあげるから。えーと、まずは私達についてか」
片足を引き、胸に手を当てると女性は優雅に礼をした。
「私の名前はアデライード。何てことはない、どこにでもいる伝承学者さ」
「伝承学者?」
「そう。各地の言い伝えや民話、伝説なんかを研究しているんだ。で、ギルガルドの方が村雨。見た目は若いけど……君達よりよっぽど年上の爺さんだよ」
「その伝承学者が、リオネルに一体何の用があるのよ?」
阿修羅姫が問うと、アデライードはふむ、と顎に手を添える。
「ふたつ、彼女を連れ去った目的だね?ふむ……そうだな、君達は『剣と少女』の昔話は知っているかい?」
「剣と少女……?ブラッド、知ってる?」
聞き覚えの無い名だ。阿修羅姫がブラッドレイに確認すると、彼も知らないらしい。小さく首を振り、アデライードに向き直る。
「いえ。それが何か?」
「簡単に言えば、剣が少女の魂を宿してヒトツキになったって話なんだけどね。その昔話のヒトツキが彼女なんだ。私は今、その昔話について調べていてね?是非現物を拝んでみたくなったわけだ」
「なっ……!そんな理由であの子を!?」
「そんなとは失礼な。好奇心が無いと文明は進化できないよ?」
阿修羅姫が噛み付くが、アデライードは涼しい顔のままだ。
「私はただ彼女について調べたいだけ。彼女を使って悪さをするつもりも、彼女に危害を加えるつもりもないよ。……私は、ね」
含みを持った言い方に、ブラッドレイは考える。
アデライードの言う通り、彼女は武器として利用するためにリオネルを連れ去ったわけではないのだろう。研究さえ終わればもう用済み、放っておいてもリオネルは帰ってくる筈だ。となると、警戒すべきはアデライードではない。
「貴女の目的は分かりました。では……村雨は?貴女と目的を同じとする、貴女の剣でしょうか?」
「ブラッド?どういうこと?」
疑問符を浮かべる阿修羅姫に、ブラッドレイは小さく溜息を吐く。
「よく考えなさい。アデライードの目的がラスティの研究なら、調べ終わった時点でもう用済みとなります。危害を加えないという言葉を信じるのならば、放っておいてもいつかラスティは帰って来るでしょう。ですが、村雨の目的が違う所にあった場合は?ギルガルドと行動を共にしているからといって、必ずしも彼女が村雨の王であるとは限りません」
ブラッドレイの言葉に、アデライードは感心した様子で手を叩いた。口元は楽しげに笑っているが、その目は鋭い光を放っている。
「いやはや、慎重と言うか疑り深いと言うか。……そうだね、私は村雨の王じゃないよ。一緒にいるだけだ。剣なんて私には必要無いしね」
「じゃ、じゃあ、村雨は貴女と違う目的でリオネルを連れて行ったの?一体、どうして」
「さぁ?」
「さぁ、って……とぼけるんじゃないわよ!」
軽く首を傾げるアデライードに、阿修羅姫は苛立った様子で詰め寄る。
「質問には答えるんでしょう?ほら、言いなさい!」
「確かに質問には答えるけど……私が訊かれたのは『私の目的』だけだよ。『村雨の目的』については何も訊かれてない。だから、答える義務は無い」
ま、折ったりはしないだろうよ。
興味無さそうに言い、アデライードは指を三本立てた右手を突き出した。
「知りたかったら本人に訊いてくれないかな?最後の質問の答えだ、彼女は今、村雨と一緒にそこに居る」
右手の指先で指し示すのは、阿修羅姫が手にしている弁当箱。
「そこって……」
「それは箱だろ?箱っていうのは、何かを入れる為のものだよ」
「……」
阿修羅姫が弁当箱の蓋を開けると、中には折り畳まれたカフェの紙ナプキンが入っていた。取り出して広げると、ミアレの地図が描かれている。地図を辿ると、ここからそう遠くない広場に印が付いていた。
「これって、もしかして」
「早く彼女を返して欲しいのなら、村雨に頼んでおいで?あの様子だと、私の研究が終わっても手放すとは思えないしね」
それだけ言うと、アデライードはくるりと背を向けてカフェテラスへと戻って行った。
「質問の答えは以上だよ。後はご自由にどうぞ」
「修羅、どうしますか?」
「勿論、行くに決まってるでしょ」
ブラッドレイの手を引き、阿修羅姫は地図が示す広場へと足早に向かう。二人の背中が遠ざかると、アデライードは小さく呟いた。
「別に、私はあの子の所在なんてどこでもいいんだ。ただ、データが取れればそれでいい」
冷めきった珈琲を一口啜り、アデライードは口元に笑みを浮かべた。


地図が示した広場は、裏通りの奥の奥。普通に生活していれば、まず立ち入ることは無いであろう場所にあった。
「こんな所に、こんな場所があったなんてね……」
周囲を警戒しながら歩くが、リオネルや村雨らしき気配は感じられない。本当に二人はここにいるのだろうか?
「ブラッド、もし……もしもよ。リオネルに何かあったら」
声に不安を滲ませ、阿修羅姫は囁くように言う。酷い目にあっていないだろうか、怪我などしていないだろうか?心配事は尽きることなく、次から次へと阿修羅姫を襲う。
「修羅、考え過ぎです」
「でもっ……!」
「……!修羅、あれを」
不意にブラッドレイが立ち止まり、前方を指差した。
路地を抜けた先の広場に、ぽつんと立つ少女が一人。普段は纏めている髪を下ろしているが、間違いない。リオネルだ。
「っ!リオネル!」
ようやく見つけたリオネルに、阿修羅姫が駆け寄る。名前を呼ばれ、リオネルはゆっくりと振り向き――
「っ!」
きらりと光を反射し、阿修羅姫の胸元を黄金に輝く刃が切り裂いた。
その場に崩れ落ちる阿修羅姫を見下ろすリオネルの顔に、表情は無い。ただただ冷たい目をして、血を祓う様に右手に構えた剣を振った。風に舞うその髪は、眩しく光り輝く金色。一点の曇りも無い刀身に、阿修羅姫はくぐもった声を漏らした。
「リオネ、ル……」
「……」
阿修羅姫を見下ろしたまま、リオネルは高く剣を振り上げた。
「っ!」
ぎゅっと阿修羅姫は目を瞑るが、いつまで経っても痛みは襲ってこない。
恐る恐る目を開くと、目の前では黒いコートの裾が風に翻っている。阿修羅姫とリオネルの間に割り入ったブラッドレイは、右手の剣でリオネルの剣を受け止めていた。
「ブラッド!」
「まったく、不甲斐ない。普段からこれくらいの威力を見せて欲しいものですね」
ブラッドレイはリオネルの剣を弾くと、左足を軸に体を回転させた。大きく右足を振り上げ、リオネルの腹部を蹴り抜く。
「がっ……はっ!」
大きく吹き飛ばされ、リオネルは地面に倒れ伏した。その隙にブラッドレイは阿修羅姫を立ち上がらせ、広場に繋がる路地へと押し込める。
「貴女はここに居なさい」
「で、でも!リオネルを」
「今の彼女には、言葉による説得は無意味です。迂闊に近寄ればまた斬られるだけですよ」
言いながら、ブラッドレイはちらりと阿修羅姫の胸元を見る。
命に別状はない。決して深くない傷だが……その剣筋に迷いは無かった。もし阿修羅姫があと少し近寄っていれば、確実に致命傷となっていただろう。
そうこうしている間にも、リオネルは地面から起き上がってくる。完全にブラッドレイを敵と認識したのだろう、鋭い眼光は隠しきれない殺気を纏っていた。
「……そのつもりなら、お相手しますよ」
「相手って……ねえ、どういうつもり!?」
リオネルに向き直るブラッドレイに、阿修羅姫は悲鳴のような声を上げる。
「まさか、リオネルを」
「向こうがそのつもりなんです。ぐずぐずしていては、こちらがやられてしまいますよ」
ブラッドレイは、どこまでも冷静にリオネルを見据えている。阿修羅姫はブラッドレイのコートの裾を掴むと、懇願するように言った。
「お願い、ブラッド。リオネルを殺さないで。絶対、無事に連れて帰るのよ」
「しかし」
「いいから!殺しちゃ駄目!」
「はぁ……」
諦めた様にブラッドレイが頷く。それと同時に、リオネルが口を開いた。
「話は済みましたか?」
感情の籠らない声に、阿修羅姫の全身の血が冷える。聞き慣れている筈のリオネルの声なのに、まるで別人の様な響きだ。
「戦場で敵を斬る。剣の役目はそれだけです」
両手に剣を構え、リオネルは石畳を蹴った。
「成程、一理あります。しかし」
リオネルの前に立ちはだかる様に、ブラッドレイも剣を構えた。二振りの剣が衝突し、高く不快な金属音が響く。
「何も考えずにただ斬るだけというのも、脳が無い」
「貴方に指図される筋合いはありません」
「おや、少し見ないうちに生意気になりましたね」
腕力はブラッドレイの方が上だ。体格も良い。しかし、リオネルはその身軽さでブラッドレイの攻撃を掻い潜ってくる。両者一進一退の攻防を繰り広げ、戦況はほぼ互角だ。
それどころか、万が一にもリオネルを殺さないように加減している分、ブラッドレイの方が後手に回ってしまっている。リオネルの攻撃は止むことが無く、自らが傷を負う事も躊躇しない。ただ敵を斬り殺すだけの兵器のように、リオネルはブラッドレイに斬りかかった。
「リオネル、止めなさい!こんな事するなんて……おかしいわよ!」
阿修羅姫が叫ぶが、リオネルはブラッドレイから視線を外す事無く言う。
「剣は敵を斬る道具。ならば、私は間違っていません」
「そっ……んな」
「リッパー」
冷たい目で見詰められるが、ブラッドレイは動じない。堂々とその視線を受け止め、降り掛かる剣の雨を受け止める。
「何でしょう」
「先日の貴方の質問に答えましょう。剣とは何か、貴方はそう問いました」
「ほう。言って御覧なさい」
「剣とは道具。敵を殺す為の道具。王に勝利をもたらす為の道具。それ以上でも以下でもありません」
「ふむ、悪くない答えですね、よくある一般論ですが。……だが」
手首を捻り、ブラッドレイはリオネルの剣を引っ掛ける様にして弾き飛ばした。体勢を崩した一瞬の隙を狙い、ブラッドレイはリオネルに足払いを掛ける。
「っ!」
「剣だからと言って、斬るだけとは限りませんよ」
地面に突いたリオネルの手を踏み付け、全体重を乗せる。これで立ち上がることはできまい。
「このっ……!」
「甘い」
リオネルは身体を捩り蹴りを繰り出してきたが、これもまたブラッドレイの剣に阻まれる。身動きの取れなくなったリオネルは、暗い瞳でブラッドレイを見上げた。
「ラスティ。錆を落としたようですが、まるでなっていませんね。貴女は本質を何も理解できていない」
リオネルの手を踏む足に更に体重を乗せ、ブラッドレイは言う。
「まず、考える順番が間違っていますよ。これだから考えの足りない小娘は」
「何を言って……」
「貴女の王はどこの誰ですか。言って御覧なさい」
「……私の、王?」
どこか朦朧とした表情で、リオネルは呟く。
「……それすらも忘れましたか?まったく、記憶力が無いにも程がある」
ブラッドレイは剣を収めると、リオネルの顎を掴んだ。無理矢理視線を合わせ、低い声で言う。
「貴女の王は、戦いに身を置く立場にありますか?敵を殺すことを必要としているのですか?」
「王、は。私の王は」
「どうせ手許に置くのであれば、目的にそぐわない道具より、必要な道具を置くでしょう。王の道具でありたくば、自分が何をするべきなのかもう一度よく考えなさい」
ブラッドレイの問い掛けに、リオネルの瞳が不自然なまでに揺れる。……やはり、何か暗示でも掛けられているのだろう。それさえ解いてしまえば元通りだ。
リオネルの顎を掴む手に力が籠った瞬間。
「止めてくれんかのぅ。わしの剣が傷付いてしまうではないか」
その場の空気にまるでそぐわない、暢気な声が響いた。
反射的にブラッドレイが剣を構え、振り返る。剣先には、おかっぱ頭の少年の姿。
「……貴方が村雨ですか」
「おや、わしの名を知っておるとはのぅ。アデラめ、個人情報の漏洩じゃぞ」
ぷぅ、と頬を膨らませる姿は愛らしいが、全身から禍々しい程の殺気を放っている。ブラッドレイは立ち上がると、リオネルの腹部を蹴り飛ばした。
「貴女は少し退いていなさい」
「がっ!」
「ああ!だから、剣が傷付くと言うておるじゃろ!」
力いっぱい蹴り飛ばされたリオネルは、広場に隣接する建物にぶつかりそのまま動かなくなった。強く身体を打ち付けたようだが、当たり所が悪くなければ大丈夫だろう。幸いにも彼女は丈夫だ。
「リオネル!」
阿修羅姫が駆け寄り、リオネルの頬に手を添える。苦しげに歪む表情に、まだ村雨が掛けたであろう暗示が解けていないことが窺えた。
「修羅、ラスティを連れて下がっていなさい」
リオネルが気を失ったことで、ブラッドレイは漸く阿修羅姫に科せられた不殺の枷を外すことができた。ここから先は、甘い事など言っていられなさそうだ。
村雨は可愛らしい笑顔を浮かべたまま、ブラッドレイを見上げている。
「お主、あれじゃろ?ジャック・ザ・リッパーとかいう……。アデラが調べておったわ」
「そうですか。私も有名になったものです」
「多くの命を斬り取ったと聞いておるぞ。なかなかやるのぅ。しかも、わしの剣を鍛えてもくれた」
ちらりとリオネルに視線を投げ、村雨は心底愉快そうに笑う。幼い外見に不釣り合いな、歪な笑み。一瞬だが、ブラッドレイの背中に冷たいものが走る。
「……先程からラスティを自分の剣だと仰いますが。彼女はこの街の劇団所有の剣の筈では?」
村雨の空気に呑まれないよう、ブラッドレイが質問を投げかける。村雨は「そうそう!それじゃ!」と両手をぱたぱたと振った。
「確かに、今はそのようじゃがな。だが、アデラから聞いておるかの?この剣がまだこの娘の魂を宿す前、その頃はわしの剣じゃった。わしはただ、自分の所有物を取り返しにきただけじゃよ」
「貴方の、ですか」
「うむ。さ、早く返してくれんか?……それとも、邪魔立てする気なら」
村雨が一歩前に出る。それに合わせ、しゃらりと金属音が広場に響いた。
「わしから剣をまた奪うというのであれば……容赦はせんぞ、若造」
一歩、二歩、村雨が歩を進める度に金属音が鳴り響き、村雨の姿も変化していく。
身長が伸び、髪が伸び、小さな掌は大人のそれへと変わっていく。ブラッドレイを見上げていた大きな瞳はいつの間にかほぼ同等の高さとなり、切れ長の瞳が怪しく光った。
「……これはこれは。随分と大きな剣が隠れていたものですね」
「軽口を叩けるのもここまでじゃ、若造。年寄りだからとて甘く見るでないぞ」
くすりと小さな笑みを残し、村雨の姿が消えた。
反射的にブラッドレイが剣を縦に構えると、直後に金属のぶつかる音が響く。
「ほう、なかなかやるの」
「それはこちらの台詞ですよ」
流れるような剣筋は、先程まで戦っていたリオネルとは比べ物にならない。無駄なく、戸惑いなく、容赦なくブラッドレイの心臓を狙ってくる。
「ラスティへの暗示は貴方によるものでしょう?成程、貴方は確かに人殺しの剣だ。彼女の豹変ぶりにも納得がいく」
「何、伊達に百人斬りはしとらんわ。剣たるもの、敵を斬ることは生涯の目的であり名誉じゃろう?」
ブラッドレイが村雨の剣を絡め、両者の動きが止まる。一瞬でも気を抜けば、そのまま真っ二つになりそうだ。
「あやつはそれを忘れてしまった。だから思い出させたまで」
「確かに錆は落ちたようですが、駄目ですね。剣としての質が下がっています」
「抜かせ!お主に何が分かる!」
村雨の怒号が響いた。
その声には、怒りとも悲しみとも取れぬ感情が籠められている。広場の端にいた阿修羅姫は、無意識にリオネルの体を抱き締めた。
「っ……」
「あっ……リオネル!気が付いた!?」
抱き締めたリオネルの体がぴくりと動き、阿修羅姫が声を上げる。その声を聞きつけ、村雨がブラッドレイから距離を取った。
「おお、目覚めたか!」
村雨はもはやブラッドレイのことが眼中に無くなったらしい。一直線にリオネルを抱き締める阿修羅姫へと向かっていく。
「退け、黒い剣よ。わしの剣を返して貰おう!」
「ふざけるんじゃないわよ!返すも何も、この子はあんたのものじゃないんだから!」
「生意気なっ……!」
怒りに染まった剣が、阿修羅姫を切り裂こうと振り上げられる。
「まったくです。……ふざけた真似をするんじゃない」
「っ!」
村雨の剣は、阿修羅姫に届くことは無かった。背後からブラッドレイに斬り付けられ、村雨は数歩後退りリオネルを見詰める。
「主ら……どこまで邪魔をする気じゃ!」
「どこまででも。貴方が諦めるか折れるまでは邪魔させて頂きますよ」
阿修羅姫に剣を向けられ、相当腹を立てたのだろう。ブラッドレイの声には明らかな殺意が籠っている。
ブラッドレイは爪先でリオネルを突くと、低い声で言った。
「ラスティ、もう聞こえているでしょう?これ以上長引くのは面倒です、さっさと選びなさい。王の許に帰るか、それとも村雨と共に行くのか」
「う……」
呻き声を上げ、リオネルが細く目を開ける。阿修羅姫、ブラッドレイ、そして村雨と視線を滑らせ、紫色の瞳がぐらぐらと揺れ動く。
「リオネル、帰りましょ?ほら、一緒にカフェに行く約束したじゃない。まだ行ってないのに、約束破るつもり?」
阿修羅姫が言う。
「剣らしくあるのは大いに結構。しかし、殺す道具であるだけが剣ではないと言ったのはどこの誰でしたかね?」
ブラッドレイが言う。
「ほれ、戻って来い。またわしと共に戦場へ行こう。お前の居場所は此処には無い」
村雨が言う。
虚ろな表情のまま、リオネルはふらふらと立ち上がった。
「リオネル、帰りましょう?ピグマリオン達も待ってるわ」
「耳を貸すでない。お主の居場所は戦場じゃ!何なら、お主を縛る偽りの王……そやつをわしが斬ってやろう!そうすれば何の心残りも無かろう!?」
「ラスティ、選びなさい。貴女は誰の、何の為の剣なのか。……どのような剣でいたいのか」
「わ、たし……私は」
引き摺る様に剣を持ち、リオネルはゆっくりとした足取りで歩を進める。
「私は」
ブラッドレイの脇をすり抜け、村雨の前へ。静かな声で言う。
「私は、王の為……ピグマリオン様の為の剣。王が求めるのは、戦場で血を浴びる剣ではなく、舞台で輝く剣。私は、王の為の剣でいたいです。だから」
ぎっと村雨を睨み付け、リオネルが叫ぶ。その眼は真っ直ぐに村雨を見据え、堂々とした輝きを放っていた。
「だから、貴方と一緒になんか行かないですです!」
掬い上げる様に村雨の胸を切り裂くと、リオネルは糸が切れた人形の様にその場に崩れ落ちた。剣を受けた村雨は、流れる血も意に介さずぽかんとリオネルを見下ろしている。
「何を……何を言っておるんじゃ、お主は」
「歳のせいで耳が遠くなったようですね。聞こえませんでしたか?彼女は貴方と共に行く気は無いそうですよ」
ブラッドレイは片手でリオネルを引き起こすと、阿修羅姫の方へと放り投げた。阿修羅姫はリオネルを受け止めると、しっかりと抱き締める。
「おかえりなさい、リオネル」
「……許さん。許さんぞ、主ら。よくもわしの剣を誑かしおって」
地獄の底から響くような禍々しい声で、村雨はブラッドレイ達を呪う。
「返せ、返せ。わしのじゃ。わしの剣じゃ。返せ、返せ、返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ」
その両手も、髪も、視線さえも鋭い剣と化し、村雨はリオネルに向かう。
「本当にしつこい老人だ。歳をとって考え方まで凝り固まったようですね」
リオネルを庇う阿修羅姫を背後にして立ち、ブラッドレイは剣を収めた。代わりに構えるのは、盾。この怒りと殺意に塗れた剣は、流石のブラッドレイでも凌ぐのは難しそうだ。
「退けっ――!」
村雨の剣が振り下ろされる。
ブラッドレイが身構えた瞬間、大地が揺れた。
「きゃあっ!」
「なっ……!」
突然の揺れに悲鳴を上げ、阿修羅姫はリオネルを抱えたままブラッドレイに縋りついた。村雨がブラッドレイに向けた剣も、方向を誤り宙を斬る。
「これは……」
自然に起きた地震ではなさそうだ。ひとり冷静にブラッドレイが辺りを見回すと、路地から涼しげな表情の女性が顔を出す。
「はいはい、そこまでにしてくれないかな村雨。それ以上やると、全員折れちゃうよ」
「アデラ……」
「ほら、剣をしまいな」
アデライードは乱暴に村雨の髪を掴むと、低い声で言う。口元は笑っているが、その眼には殺気さえ湛えていた。
「大まかではあるけど、戦闘データは取れた。まだ研究は終わっていないからね、君はともかくここで彼女が折れては困るんだよ。それに、ジャック・ザ・リッパー」
ちらりとブラッドレイに視線を投げ、アデライードは意地の悪そうな笑みを浮かべる。
「君についても、まだ研究が終わっていない。できるだけ村雨を挑発するような真似は控えてくれるかな?私が言うのもなんだけど、村雨が本気を出したら無事ではいられないと思う」
「……そうですね。それについては、重々承知していますよ」
「それは良かった。あ、そこの黒い剣は安心して?君は黒いだけで特に調べ甲斐は無さそうだ。関わりさえしなけりゃ何もしないよ」
「こんな事されて、放っとけるわけないじゃない!あんた達、よくも」
「修羅」
アデライードに噛み付こうとした阿修羅姫を、ブラッドレイがやんわりと止める。折角向こうが穏便に済まそうとしているのだ、ここで無駄に波風を立てたくはない。
「……賢明な判断だね」
アデライードは笑い、村雨を軽く蹴り上げる。
「さ、行くよ爺さん。一度データを纏めたいんだ、直接戦った上での感想を聞かせて貰いたい」
「……なんでわしが」
「文句を言わないでくれ。……折るよ?」
「ぴゃっ!」
刀身を収め、小柄な姿に戻った村雨を脅すアデライードは、傍から見れば凶悪極まりない。村雨は名残惜しそうに何度もリオネルを見ていたが、やがてアデライードに促され路地の奥へと消えていった。
「それじゃ。また会おう、王剣様方。次はもっといいデータを期待してるよ」
薄い笑みを残し、アデライードもまた路地の奥へ姿を消す。二人の足音が完全に聞こえなくなると、ブラッドレイは漸く構えを解いて行った。
「さぁ、帰りますよ、修羅」


**********


何か、嫌な夢を見ていた気がする。
重たい頭を無理矢理覚醒させ、リオネルが目を開いた。見慣れた天井は、劇場内にある私室だ。
「あれれ……?」
ベッドから身を起こすと、ふわふわとした足取りでリオネルは部屋の扉を開いた。今日は休日だっただろうか?劇場の廊下には誰もいない。
「えっと……今日って、何日でしたっけねね」
曖昧な記憶を辿りながら、リオネルは食堂へと歩を進める。何だかわからないが、とりあえず空腹を満たそう。考えるのはその後でも良い。
食堂に入ると、そこもまた無人だ。壁にかかった時計は昼過ぎを指している。きっと皆、食事が済んで出て行ったに違いない。
「何か残り物とか無いですかねね」
冷蔵庫へと向かう途中、リオネルはふと洗いたての食器が入った籠に目が行った。そこには、リオネル愛用の弁当箱が綺麗に洗われて干されている。
「……」
弁当箱を手に取り、リオネルはゆっくりと記憶を整理する。ああ、そうだ。自分はあの日外に出て、そして。
どれだけの間そこに立ち尽くしていたのだろう。不意に肩を叩かれ、リオネルは大声と共に飛び上がった。
「ひゃわわっ!」
「うわぁ!」
「あ……リオン、さん」
「おはよう、ネル」
背後に立っていたのは、いつもと変わらない笑顔のピグマリオン。リオネルは肩の力を抜き、ピグマリオンに向き直る。
「あの、リオンさん。私」
「ネル」
沈痛な面持ちのリオネルの言葉を遮り、ピグマリオンは優しい声で言う。
「前にも言ったと思うけど、僕は君の味方だよ?君がしたい事を見付けたなら、それを応援するまでさ」
「リオンさん……」
「詳しい事は知らないし、無理に訊かないけど……。どうやら、君は自分のなりたいもの、やりたいことを見付けたらしい」
「……はい」
「なら、僕はそれでいいと思うよ。うん、前よりもいい表情をするようになった」
くしゃくしゃとリオネルの頭を撫でると、ピグマリオンは小さく手を打って言った。
「さ、とりあえず身嗜みを整えて。紳士と御婦人にお礼を言いに行きなさい?あの二人がネルを送ってきてくれたんだよ」
「あ、お二人がが?」
「うん。お世話になったんだろう?ちゃんとお礼はすること!あと、御婦人から伝言。また今度、一緒にカフェに行きましょう。だって」
「……!リオンさん!ちょっと出掛けてきますます!」
「はいはい、行ってらっしゃーい。あ、遅くなる時には?」
「連絡しますます!」
「うん。いい子だね」
「当然ですです!なんてったって、私はリオンさんの剣ですからから!」
にっこりと笑うと、リオネルは全速力で食堂を飛び出した。まずは顔を洗って、髪も整えないといけない。阿修羅姫にはお詫びとお礼、ブラッドレイにも少々気恥ずかしいが礼を言わなければ。
「やっぱり、私のお師匠様は世界一ですです」
風になびくリオネルの髪が、きらりと光った。
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橋谷あも

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