久し振り

ベルエポック
ベルエポック(夜ルガルガン♀)
ベルエポ気に入ってるから見てくれ。


追記に文章。こっちが本題です!
つまさん宅のお子さん方をお借りしています。れんゆきちゃん!れんゆきちゃん!!
ちょっと調子乗って沢山お借りしてるんですが、つまさんなら許してくれると信じて…!誤字脱字ももしあっても脳内補完してくださると信じて…!
保存転載等はつまさんのみご自由にどうぞ。
お子さんを貸して頂き、有難う御座いました!!!



「それでは、本日の授業はこれまで」
コチコチと規則正しく時を刻む時計に促されるように、生駒は静かに教科書を閉じた。
「皆さん、気を付けて帰ってくださいね」
「はーい!」
「先生、さようならー!」
寺子屋に子ども達の声が響き、ひとり、またひとりと帰路につく背中を生駒が見送る。
長かった冬も終わり、日差しも暖かくなってきた今日この頃。皆、友達との遊びや家の手伝いに忙しいのだろう。早々に帰宅していく中で、生駒はふと教室に残る生徒達に気が付いた。
「幸恵、恋瓦。珍しいですね、貴方達が残っているなんて」
生駒が声を掛けると、生徒達──幸恵と恋瓦の姉弟は揃って顔を上げ、生駒ににっこりと笑顔を向けた。
「あのね、今日はお父さんがお迎えにきてくれるんです!」
「最近ずっと忙しかったんだけど、今日は暇だから母ちゃんの店で飯食おうって!」
「そう、それは良かったわね」
いつもなら真っ先に寺子屋を飛び出して行くふたりだが、今日は余程迎えが来るのを楽しみにしているのだろう。縁側に腰掛け、一心に父の姿を捜している。
「貴方達のお父さんは、確かからくり技師でしたね」
「はい!お父さん、凄いんですよ!いつも遠いところからもお仕事の依頼がきてて」
「おれも、将来は父ちゃんみたいにかっこいい男になるんだ!」
「そう。それは是非、先生もご挨拶させて頂きたいわ」
目を輝かせて父について語る幼い姉弟に、生駒は眩しそうに目を細める。生駒も幼い頃、こうして父を待って過ごしていたことがあるのだ。生憎、生駒の父は二度と帰ってくることはなかったのだが。
「早く迎えに来てくれるといいですね」
幼い頃の自分とふたりを重ね、生駒もそっと縁側に並んで腰掛ける。早咲きの桜が少しずつ咲き始める街道は、花に見惚れているのだろうか?通る人影もどこか歩みが遅く感じられる。
「ん……?あっ、ゆき!来た来た!」
行き交う人々の中、恋瓦は寺子屋に向かって歩いてくる人物を見付けたらしい。隣に立つ幸恵の肩を叩き、指でその方向を指し示す。
「ほら、こっち来る!」
「えっ!……あれ?違うよ、れんくん。あれ、門守様だよ」
「……え?」
首を傾げる幸恵に、生駒もまた訝しげな声を上げた。目を凝らして見ると、寺子屋に真っ直ぐ向かってくる人物は確かに門守──花街の門番長であり、生駒の父の仇だ。
門守は子ども達の視線に気付いたのだろう、大きく右手を振っている。
「幸恵、恋瓦。迎えに来たぞ」
「門守様、こんにちはー!」
「師範!どうして師範が?父ちゃんは?」
門守は庭を通って縁側に並ぶ三人のところまで来ると、少しだけ困った様に笑う。
「それがな。さっきお前達の父さんに会ったんだが、急に仕事が入って迎えに来れなくなったらしいんだ。恋瓦、どうせあとで道場に来るだろう?丁度良いからな、代わりに迎えに来たんだ」
「えーっ!」
門守の言葉に、幸恵と恋瓦は顔を見合わせる。
「そんなぁ、楽しみにしてたのに……」
「今日は暇だって、父ちゃん言ってたよな?」
「ふたりとも、そう落ち込まないで。確かに、急な事で残念ですが……折角、門番長殿も来てくださったんです」
肩を落とすふたりの背後に回ると、生駒は励ます様にそっと小さな肩を抱いた。
「恋瓦は道場にも行くんでしょう?丁度良い機会ですし、帰り道に色々教えてもらうといいわ。貴方、体を動かすのが好きですものね」
「はい!寺子屋のベンキョーも楽しいけど、おれはやっぱり道場のが好きだな!」
「おいおい恋瓦、先生の前でそれは失礼だろ」
「あ、ごめんなさい先生」
「いいえ、気にしないで。……さ、帰り支度をして。あまり門番長殿を待たせてはいけません」
「はーい!」
生駒に促され、幸恵と恋瓦は教室に戻る。ふたりは鞄を持つと、玄関へ向かう為に廊下へと出て行った。
ふたりの姿が見えなくなると、生駒は先程までとは打って変わって冷たい声で門守に言う。
「……本当に、あの子達の御父上の代理だろうな?」
「本当だ。そこまで信用ならないか?」
「私がお前を信用する義理は無い」
「言ってくれるな。仮にも、恋瓦は俺にとっても教え子だぞ?」
「そこも気にくわない話だ。恋瓦だけじゃない、私の大切な生徒達に危ない真似をさせるな」
「教えていいことと悪いこと位は考えてるさ。無闇に怪我をさせるような真似はしない。なんなら、今度見学にでも来るか?一日体験でもいいぞ」
「ふざけるな!誰がお前の道場なんて」
「そうか?悪い話じゃないだろ。俺の監視もできるし、何よりお前は生徒想いの優しい奴だ。心配だって言うなら、安心させたいと思うのも当然だろう」
「優しいだと……!?私の何が分かる?知ったような口を利くな!」
思わず生駒が声を荒げるが、門守は目を細めて笑うだけだ。その態度が、ますます生駒の神経を逆撫でる。
「……何だ?」
「ん、ああ、いや。……やっぱり、お前は優しい奴だよ。ただ、もうちょっと自分にも優しくしてやれ?折角の美人が台無しだ」
「余計なお世話だ」
眉間を指差して笑う門守に、生駒はぐっと唇を噛み締める。
生駒にとって門守は憎むべき、打ち倒すべき相手であるが、彼の方は生駒に対して一切攻撃的な態度を見せない。揺らめく炎の様に、生駒の怒りや憎しみをかわしてしまうのだ。このような問答も一度や二度ではない。
「ほら、いい加減その顔どうにかしろ。もう恋瓦達が来るぞ」
「……分かっている」
門守に指摘され、生駒は深呼吸をして気を落ち着かせる。間も無く、玄関から幸恵と恋瓦が顔を出した。
「師範、お待たせしましたー!」
「門守様、帰りましょー!」
「おう、すぐに行く。……じゃあ、失礼します生駒先生」
「……さようなら。幸恵、恋瓦」
「さよなら、先生!」
「さようならー!」
門守には言葉を返さず、生駒は幸恵と恋瓦に向けて小さく手を振る。その姿に苦笑を漏らし、門守は幼い姉弟と連れ立って桜並木の中を帰って行った。


「瓦嵐、いるか?」
「いらっしゃ……あ、門守様!わざわざすみません、有難う御座いました!」
花街に戻った門守は、姉弟を連れて瓦嵐堂を訪れた。いくら道場に行く予定があるとはいえ、迎えに行った報告をせずに直行するわけにもいかない。
「父ちゃん、ただいま!」
「ただいま、お父さん」
「お帰り。ふたりとも、ちゃんと勉強してきたか?」
帰宅早々駆け寄ってくる姉弟に、瓦嵐は頬を緩ませる。余程ふたりがかわいいのだろう、仕事の手を止めると両腕いっぱいにふたりを抱き止めた。
「ねぇお父さん、お仕事忙しいの?朝は暇だって言ってたのに」
「ああ。急に仕事が入ってきてな。しばらく手が離せそうにないんだ」
「ちぇっ。母ちゃんの店に行くの、楽しみにしてたのに」
小さく唇を尖らせる恋瓦に、瓦嵐は困った様に笑う。
「ごめんな、恋瓦。代わりと言っちゃなんだけど、今度の休みには花見にでも行こうな」
「お花見!?……うーん、それなら仕方ないな!今日は許してやる!」
「おっ、ありがとな。流石は恋瓦、男前!」
「へっへー」
「お父さん、わたしも!わたしも今日は許してあげる!だから、お花見は絶対だよ!」
「ああ、勿論だ。母さんに弁当作ってもらおうな」
「わーい!」
新たな花見の約束に、幸恵と恋瓦は機嫌が直ったようだ。恋瓦は満足そうに笑うと、門守の手を取る。
「よーし!師範、早く道場行きましょう!なんかおれ、すっごいやる気出てきた!」
「おっ、そうかそうか。それじゃあ、今日は新技教えてやるかな」
「わーい!」
「門守様、わたしも見学しに行っていい?」
ぐいぐいと門守の手を引き瓦嵐堂を出て行こうとする恋瓦と幸恵に、瓦嵐は慌てて声を掛ける。
「あ、待て待て!」
「え、何?父ちゃん」
「お前等、まだ昼飯食ってないだろ。……いろはー!」
瓦嵐が店の奥に呼び掛けると、両手に風呂敷包みを持った伊呂波号が顔を出した。伊呂波号は包みをひとつずつ姉弟に差し出す。
「どうじょうまでとどけるてまがはぶけたな。幸恵も恋瓦も、ほら。べんとうもってけ」
「えっ、弁当?やったー!」
「ありがとう、いろはちゃん。でもお父さん、これどうしたの?お母さん、朝お弁当なんて作ってなかったよね?」
「ああ、あずまさんに大急ぎで作って貰ったんだよ。父さんじゃろくなモン作れないから……」
「あー……成程」
瓦嵐の言葉に、姉弟と門守までもが深く頷く。確かに、瓦嵐の腕では弁当らしい弁当など作れないだろう。良くておにぎりだ。
「……まぁ、近所付き合いは大切ってことだな。あずまに感謝しろよ?」
「か、門守様……!」
小さく笑いを噛み殺す門守に、瓦嵐は情けなく肩を落とす。
「大丈夫だよ、お父さん。いざとなったらわたしが作ってあげるから」
「そうそう。おれも手伝うから」
「幸恵と恋瓦まで……!」
完全に項垂れた瓦嵐を残し、三人は今度こそ瓦嵐堂を後にした。


**********


「ただいまー!」
「おう、お帰り」
夕方、道場での稽古を終えたふたりが帰宅すると、瓦嵐はまだ仕事をしていた。
「父ちゃん、まだ終わんないのか?」
「うーん。これはもうすぐ終わりそうだな。ただ、明日も朝一で仕事入っちまって」
「えー!」
「さっき連絡があってな、寺から修理の依頼がきたんだ。午前中に故障品の引き取りに行かないと」
「そんなぁ!」
「父ちゃん、ずっと働き詰めじゃんか」
「ごめんな、ふたりとも」
「っ……!」
申し訳無さそうに言う瓦嵐に、幸恵と恋瓦も言葉に詰まる。あまりわがままを言って困らせたくはないが、このままでは瓦嵐はずっと働き続けるだろう。
「……あのさ、ゆき」
「なぁに、れんくん?」
恋瓦は何か思いついたのだろうか、そっと幸恵に耳打ちする。
「ちょっと思ったんだけどさ。おれ達で父ちゃんの手伝いするって、どうだ?」
「え、お手伝い?」
「そう。修理はできないけど、明日父ちゃんの代わりにお寺まで行って、故障品取ってくるんだ!それくらいならできるだろ?忙しいままだと、お花見の約束だってだめになっちゃうかもしれないしさ」
「……うん、そうだね。それだったらわたし達でもできそう!」
「よぉし、決まり!……父ちゃん!」
恋瓦は幸恵の手を取ると、瓦嵐に声を掛ける。
「ん?何だ?」
「あのさ、明日お寺に行くの、おれとゆきが行くよ!」
「は!?」
「わたし達でお父さんのお手伝いするの!」
ふたりの提案に、瓦嵐は困惑したように視線を彷徨わせる。
「あー……いや。まぁ。気持ちは嬉しいけどな?別にそんなことしなくても」
「でも、父ちゃんずっと忙しいだろ!?」
「わたし達だって、お父さんの役に立ちたいの!」
「そうは言うけどな?遊びじゃないんだぞ」
「誰も遊びだなんて言ってないだろ!」
「そうだそうだー!」
きゃあきゃあと騒ぐふたりをどうにか宥めようと瓦嵐が苦戦していると、からからと戸を開く音がした。弾かれたように顔を上げ、瓦嵐は安堵の表情を見せる。
「ただいま~!」
「琴恵!いいところに帰ってきた!」
「あ、瓦嵐さんお疲れさ……えっと、何かあったんですか?」
仕事から帰宅した琴恵は、瓦嵐と子ども達の様子に目を丸くする。
「いや、それが」
「母ちゃん、聞いてくれよ!父ちゃんってばおれ達がお寺に行くの駄目だって!」
「お父さんのお手伝いしたいのに!ねぇ、いいでしょ!?」
「ちょ、ちょっと待って!?ふたりとも、落ち着いて?ね?」
どうどうと子ども達を宥め、琴恵は改めて尋ねる。
「えーっと、何があったの?」
「あのね、お父さんが明日お仕事でお寺に行くんだけど」
「ふむふむ」
「父ちゃん、最近ずっと忙しいだろ?だから、おれとゆきが代わりに行って、故障したもの引き取ってこようって」
「成程、成程……そっかー……」
幸恵と恋瓦の話を聞き、琴恵はうんうんと頷く。
「そうだね、お父さん、ずっと忙しそうにしてるもんね」
「でもよ、依頼品は壊れやすいもんだし、子ども二人に行かせるってのも」
「だから大丈夫だってば!」
「父ちゃん、聞き分け悪いぞ!」
「ああ、ほら!落ち着いて落ち着いて!」
琴恵はなんとか話題を変えようと、瓦嵐と子ども達の間に割って入る。
「とりあえず、ご飯の支度しますからね。れんくんもゆきちゃんも、お腹減ったでしょう?……そういえば、お昼はどうしたんですか?わたし何も用意しないで出ちゃいましたけど」
「ああ、それならあずまさんに頼んで弁当作って貰った」
「あ、そうなんですか!それじゃ、ちょっとだけ待ってて貰えますか?ちゃんとお礼言ってこないと!」
琴恵は幸恵と恋瓦の手を取ると、にっこりと微笑む。
「さ、ふたりも一緒にあずまさんのところに行きましょうね。お父さん、帰ってくるまでにお仕事片付けておいてくださいね!」
「ん、……あ、ああ」
きっと、帰ってくるまでに冷静になれということだろう。琴恵なりの気遣いに、瓦嵐は小さく頷く。
「それじゃ、行ってきます」
「……行ってきます」
「行ってきまーす……」
琴恵に手を引かれ、幸恵と恋瓦はちらちらと瓦嵐を気にしながらも瓦嵐堂を出て行った。


東遊の経営する居酒屋「東屋」は、開店直後のせいか店内に客の姿は少ない。カウンター席にふたり、色違いのミロカロスとミミロップの客が座っているだけだ。
「こんばんは、あずまさん、みのりちゃん」
琴恵達が店に入ると、カウンターに立つ東遊と実が即座に笑顔を向ける。
「あら、いらっしゃい琴ちゃん。ゆきちゃんとれんくんも一緒?」
「あーちゃん、実お姉ちゃん、こんばんは!」
「こんばんは!」
「はい、こんばんは。ちゃんと挨拶できて偉いわねー」
幸恵と恋瓦に挨拶され、東遊は嬉しそうに微笑む。子ども好きの彼は、近所に暮らす幼い姉弟がかわいくて仕方がないのだろう。ふたりに手招きし、空いている席を勧める。
「ほら、ここに座って。実、きのみジュース持ってきて!」
「はーい!」
「あ、そんな、お構いなく!」
「いいのいいの。あたしが好きでやってるんだから!」
慌てる琴恵に笑いかけ、東遊は幸恵と恋瓦をカウンター席に座らせる。ジュースを運んできた実も、いつも以上に頬が緩んでいるようだ。
「はい、召し上がれ」
「ありがとう、実お姉ちゃん!」
「いただきます!」
居酒屋に子どもがいる光景も珍しいのだろう。差し出されたジュースを受け取るふたりに、先客のふたりも声を掛けてきた。
「坊主、なかなかいい飲みっぷりだなぁ?」
「ありがとう!……えーと、兄ちゃん?姉ちゃん?」
突然声を掛けられ、恋瓦が首を傾げる。長い髪に絢爛な着物を纏ったミロカロスの客は、恋瓦の反応に心底おかしそうに笑った。
「ははっ!女みてぇってか?こう見えても兄ちゃんだ。はちがつついたち、ってぇ書いて、ほおずみってんだ。それと、こっちが月影」
「よろしくな」
ほおずみに月影と呼ばれたミミロップの客も、人懐っこい笑顔を浮かべる。
「ほおずみお兄ちゃんと、月影お兄ちゃん。わたしは幸恵っていいます!」
「おれは恋瓦!……あれ、月影兄ちゃんって、道場に来たことある?なんか見たことあるような」
「ん、ああ。この花街の道場なら行ったことあるぞ?こう見えて道場破りしててな。つっても、前に行った時はコテンパンにのされちまったけど」
「道場破りかー!そういえば、前に師範がそんなこと言ってたっけ」
「おっ、もしかしてあそこの門下生か?いやぁ、世間は狭いねぇ!」
偶然にも共通の話題を見付け、恋瓦と月影が意気投合する。予想外に盛り上がっているカウンター席を一瞥し、東遊は琴恵に向き直った。
「子ども達の相手はあのふたりに任せて……。で、どうしたの琴ちゃん?何か用事でしょ?」
「あ、はい。今日のお昼にお弁当を作ってくださったって聞いて。本当に有難う御座いました!」
「やだ、いいのよ別に。お弁当って言っても、お店の余りもの詰めただけだし」
深々と頭を下げる琴恵に、東遊は苦笑する。
「もうちょっとね、凝ったもの作ってあげられたらよかったんだけど」
「そんな、作って頂いただけで充分です!ほら、ゆきちゃんとれんくんも!あずまさんにお礼言って!」
「あーちゃん、有難う御座いました!」
「お弁当、すっごく美味しかったです!」
「あらそう?よかった~。また必要だったらいつでも言ってね?お留守番でもお出掛けでも、いつでも作ってあげるわよ」
「お出掛け……そうだ!あーちゃん聞いてよ!」
東遊の言葉に、先程の瓦嵐とのやり取りを思い出したらしい。幸恵と恋瓦はカウンターに身を乗り出して叫んだ。
「父ちゃんがさ、おれ達がお寺に行くの駄目って言うんだ!」
「え?お寺?」
「あ、あのですね、実は……」
事態をのみ込めず目を丸くする東遊に、琴恵が説明する。
「……というわけで、ちょっと揉めてまして」
「はぁーん、成程ねぇ。いいじゃない、行かせてあげれば?あたしが子どもの頃なんて、もっと危ない事もしてたわよ」
「でも、瓦嵐さんは乗り気じゃなさそうなんですよ」
「まぁ、瓦嵐は子どもは遊ぶのと勉強するのが仕事だーって思ってるとこあるものね。助手ならいろはちゃんもいるし」
カウンターに肘をつき、東遊は幸恵と恋瓦に目線を合わせる。
「でも、あなた達はお父さんのお手伝いしたいのよね?」
「うん!」
「父ちゃん、いっつも忙しそうだもん!」
東遊の問いに頷くふたりに、ほおずみと月影も感心したように笑う。
「おっ、偉いぞふたり共!」
「いい子達じゃあねぇか。かわいい子には旅をさせよって言うしな、どうだいおふくろさん?行かせてやったら」
「う、うーん……行かせてあげたいのは山々なんですけど……」
「そうだ。ねぇ、ゆきちゃんれんくん」
妙案が浮かんだらしい。ぽん、と手を叩き東遊が言う。
「どうかしら、お父さんが断れないようにしてあげましょうか?」
「え?どうやって?」
「んふふ。瓦嵐ってね、頼まれ事に弱いのよー。ね、ふたりとも?お寺って、天蜜さんのところ……ほら、あのながーい石段のあるお寺。あそこのことでしょう?」
「え?うん」
「それならね、ひとつあたしと実からお願い」
東遊はカウンターを実に任せ、店の裏へと入って行った。しばらく待っていると、東遊は大きな水筒を抱えて戻ってくる。
「これ、あたしが作った甘酒なんだけど、お寺にいる天蜜さんに持って行ってくれない?」
「えっ!お寺に!?」
「そう」
幸恵と恋瓦に水筒を渡し、東遊は悪戯めいた笑みを浮かべる。
「お父さん、あたしのお願いを聞くのは駄目って言ってないものね~。これ持って行ってらっしゃい。ついでに『提案』なんだけど、壊れたものがあったら持って帰ってきたらどう?」
「ははぁ……成程ー!あーちゃん天才!」
「ふふ。これでも、門番時代は策略家で通ってたのよ?」
「あーちゃんかっこいい!」
東遊からの助け舟に幸恵と恋瓦はぱちぱちと手を叩いて喜ぶ。
「ね、お母さん。行ってもいいでしょ?」
「折角あーちゃんに頼まれたんだし、行かせてよ!」
「もう……しょうがないなぁ。お母さんからもお願いしてみるけど、お父さんにちゃんと言うんですよ?」
「はーい!!」
子ども達に訴えられ、琴恵もようやく折れる。こうも頼み込まれ、東遊にまで協力されてしまっては断れるはずがない。
「ゆきちゃん、れんくん。天蜜お姉ちゃん達によろしく伝えておいてね」
「任せて、実お姉ちゃん」
寺行きが決まったふたりに、周りの大人達も次々と声援を送る。
「よかったなぁ、ふたりとも。気を付けて行ってくるんだぞ?」
「迷子になんねぇようにな!」
「わかってるって!大丈夫!」
「ちゃんと届けるから安心してね、あーちゃん」
「ええ、頼りにしてるわよ。……さ、遅くならないうちにお父さんに伝えて、今日は早く寝なさいね?」
東遊に優しく促され、幸恵と恋瓦が席を立つ。
「じゃあね、あーちゃん、実お姉ちゃん」
「ほおずみ兄ちゃんと月影兄ちゃんも!またな!」
「それじゃあ、失礼します」
東遊の水筒を大切そうに抱え、母子は東屋を後にした。


「ただいまー」
「おう、お帰り」
三人が家に戻ると、瓦嵐は琴恵に言われた通り、本日分の仕事をきっちり片付けていた。
少し距離を置いたことで冷静になったのだろう。瓦嵐は人差し指で頬をかき、慎重に言葉を選ぶ。
「あのな、幸恵。恋瓦。さっきの話だけど」
「あ、それなんだけどさ!さっきあーちゃんに頼まれて、おれ達でお寺に行くことになったんだ!」
「え」
恋瓦の元気な声に遮られ、瓦嵐の口が止まる。
「天蜜さんにね、甘酒届けるの!もしかしたら、お父さんのお仕事も一緒にやっちゃうかも!ねー、れんくん!」
「なー、ゆき!」
顔を見合わせて笑うふたりに、瓦嵐は面食らったように琴恵に視線を向ける。
「……あの?琴恵ちゃん?説明」
「あのー、ですね……。実はあずまさんが……」
かくかくしかじか。
琴恵の話を受け、瓦嵐は頭痛を堪えるように天井を仰ぐ。
「あー……ったく、あの人は面倒見がいいというかお節介というか。俺が断れないって分かってて言ったろ?余計な口実作りやがって」
「ま、まぁまぁ!これもあずまさんなりの気遣いですし。それに、あんなにやる気いっぱいなんですもん、行かせてあげたっていいと思いますよ?」
「うーん……」
瓦嵐はちらりと子ども達を見やり、思案する。
幸恵も恋瓦も、水筒を抱えて既に明日の予定を立て始めている。もう、止めたところで言うことなど聞かないだろう。
「仕方ねぇな……。幸恵、恋瓦」
「はい!」
「いいか、あずまさんからのおつかいはちゃんとやるんだぞ。父さんの仕事は無理しなくてもいい。結構重いものだって聞いてるから、持って帰ってこれなかったら父さんが改めて取りに行く。これでどうだ?」
「えー、大丈夫だって。持って帰ってくるよ!」
「落としたらどうすんだよ。無理はしないこと、これが寺行きの条件だ。守れるか?」
瓦嵐の案に、幸恵と恋瓦は大きく頷く。
「分かった!」
「分かったから、行っていいんだよな!?」
「止めても無駄だろ?ならもういい、行ってこい!」
「やったー!!」
瓦嵐の許可が降り、幸恵と恋瓦は手を取り合って喜ぶ。その姿を見て、瓦嵐はそっと琴恵に耳打ちした。
「なぁ琴恵、こういうのも成長なんだろうなぁ……親離れというか何というか。もう何でも自分でやっちまうのかなぁ」
「うーん。確かにちょっと寂しいですけど、嬉しいことじゃないですか、瓦嵐さん!ふたりとも大きく強くなってくれて、わたしは幸せです!」
「琴恵は強いな」
「当然ですよ、だってお母さんですもん!……さて、解決したところで晩御飯の支度しちゃいますね!ゆきちゃん、手伝ってくれる?」
「あ、はーい!」
琴恵に呼ばれ、幸恵は台所へと駆けて行く。その場に残された恋瓦に、瓦嵐は小さな声で言った。
「いいか、恋瓦。ちゃんと姉ちゃんを守るんだぞ?」
「わかってるって。任せてくれよ父ちゃん!」
ドンッと胸を叩く恋瓦に、瓦嵐はたまらず笑みをこぼした。


**********


翌朝。春の日差しに彩られ桜が花開く道を、幸恵と恋瓦は並んで歩く。
水筒は紐を付けてしっかりと肩に掛け、手を繋ぐ。空いた手には寺までの地図。まるで遠足のような高揚感に包まれ、早足になる恋瓦を幸恵が宥める。
「れんくん、速いよ!」
「あ、ごめんなゆき」
「大丈夫だよ、急がなくてもお寺は逃げないよ。それよりほら、あっち見て!」
幸恵が指差す方向には、穏やかに流れる川や、川沿いの道にぽつんと立つ茶屋が見える。きっと、桜が満開になればあの茶屋からは良い景色が拝めるのだろう。
茶屋からほんのりと漂ってくる甘い香りに、幸恵と恋瓦はそわそわとお互いの顔を窺う。
「……れんくん、お小遣い持ってる?」
「……ちょっと足りない」
「ちぇ、残念。折角ならお団子かお饅頭も欲しかったね」
「あーちゃんの甘酒、美味いもんな。あーあ」
ふたりは小さく肩を落とし、茶屋を通り過ぎようと歩を進める。丁度茶屋の入口に差し掛かったところで、店内から若い男女のふたり連れが出てきた。
背の高いギルガルドの男性と、尼僧らしきサーナイトの女性。彼等はふたり分というには幾分大きな包みを持って、幸恵と恋瓦の前を歩いて行く。……どうやら、目指す方向は同じようだ。
「あの人達もお寺に行くのかな?」
「かもな。もしそうだったら、甘酒あげるから団子分けてくれないかなー?」
先を行く男女の背中を追うように、幸恵と恋瓦も寺への道を行く。途中何度か道に迷いかけたが、その度に遠くに彼等の背中を見付け、正しい道へと戻って来られた。初めてのおつかいにしては今のところ順調だ。
「ゆき、もうちょっとだぞ!」
「うん。……あ、あれ!あそこ!」
幸恵が大きな声を上げる。まだ少し遠いが、視界の端に大きな石段が見えた。あれが寺への入口だろう。石段の下には、先程の男女が立っている。
「急ごう、ゆき!」
「うん!」
幸恵と恋瓦が駆け足で石段まで辿り着くと、女性が柔らかな声で話し掛けてきた。
「こんにちは。おふたりもお寺へ?」
「はい!天蜜さんに、甘酒をお届けしにきました!」
「あらまぁ、奇遇ですこと。私も天蜜姉様に会いにきたんですよ。もう目の前ですけれど……よろしければ、御一緒しても?」
「いいぜ!一緒に行こう!」
「まぁ、有難う御座います。貴方達は御姉弟ですか?ふふ、こんなに可愛らしい方々と御一緒できて嬉しいです」
にっこりと微笑む女性とは対照的に、傍らに立つ男性はまるで鋼の様に冷ややかな表情をしている。男性はそっと上半身を折ると、女性の耳元に囁いた。
「輪廻よ。お主、随分と白々しいではないか。この童達が後を歩いていたこと、気付いていただろう?道案内では飽き足らず、わざわざこんな所で待つとはな」
子ども達に聞こえないよう名を呼ばれ、輪廻は目を細めて笑う。
「あら、何の話でしょう。それより一文字、もう少し愛想よくしたら如何です?おふたりが怯えてしまいますよ」
「それこそ、儂には関係のない事よ」
男性──一文字はふいと顔をそむけたが、同行を嫌がっているわけではないらしい。皆が石段に足を上り始めると、少し遅れてその後をついて行った。


石段を上ると、ぽつぽつと桜の咲く境内に出た。人の姿は見えないが、無人という事は無いだろう。
「姉様、天蜜姉様はいらっしゃいますか?」
輪廻が呼び掛けると、小さく「はーい」と返事があった。やがて、ぱたぱたと箒を片手に走ってくるオオタチの女性の姿が見える。
「いらっしゃい、輪廻ちゃん、一文字さん」
「天蜜姉様、ご無沙汰しております。これ、つまらないものですが」
「そんな、気を遣わなくてもいいのに!……あら?こんにちは。あなた達、お名前は?」
天蜜は輪廻から茶屋で買った菓子を受け取ると、幸恵と恋瓦に目線を合わせるため小さく屈んだ。
「はじめまして、幸恵です!」
「恋瓦です!あの、あーちゃん……あずまさんから甘酒預かってきました!」
恋瓦が水筒を渡すと、天蜜はぱっと表情を明るくする。
「あら!わざわざ有難う。幸恵ちゃんに、恋瓦くん。わたしは天蜜といいます、よろしくお願いしますね」
「よろしくお願いします!!」
「ふふ。さぁ、どうぞ。立ち話もなんですから……お堂に行きましょうか」
天蜜は箒を置くと、皆をお堂へと案内する。建物の中からは、微かに笑い声と低い男性の声が聞こえた。
「あの、天蜜さん。誰かいるんですか?」
幸恵が訊ねると、天蜜は小さく笑って言う。
「ええ。このお寺にはね、こわーい人から逃げてきた女の人と、その子ども達がいるの。それと」
「お、姉貴!輪廻と一文字さん来たのか?久し振り!あれ、そっちの子達は?保護した子?」
「こちら、わたしの弟の密です」
タイミング良くお堂から顔を出した男性を指し、天蜜は苦笑する。
「密、この子達はお客様よ。ちゃんと御挨拶して」
「ん。俺は密、よろしくな」
「よろしくね、密お兄ちゃん」
「よろしく!」
「にしても、今日は客が多いなー。さっきもひとり来たばかりだってのに」
幸恵と恋瓦に軽く手を振りながら言う密に、輪廻が訊ねる。
「あら、他にもお客様がいらっしゃるんですか?」
「ああ。なんか旅の仮面売りっていう奴が来てんだよ。面白い仮面売っててさ、俺もちょっと被ってみたんだけど凄いんだぜ?着けた仮面と同じ顔になるんだよ」
密がお堂の中を指し示す。その先では、背の高い男性が女性達に囲まれていた。
男性は手にした包みから仮面を取り出しては女性達に被せており、その度に明るい笑い声が起こる。
「な?笑った顔の仮面着けるとああなんの」
「まぁ。面白いこと」
「ふむ……悪い気配はしないな。害は無いだろう」
輪廻と一文字は遠巻きに男性を眺めていたが、幸恵と恋瓦はその脇をするりと通り抜け、男性の元へと駆け寄っていく。
「葛籠さーん!」
ふたりが呼ぶと、男性はゆったりとした動作で振り向いた。
「おや、幸恵さんに恋瓦くん。お久し振りです」
「何だ、知り合いだったのかよ?」
密に訊ねられ、幸恵と恋瓦は同時に頷く。
「うん、お隣さん!」
「でも、葛籠さんほとんど家にいないけど!」
「まさか、こんな所でお会いするとは思いませんでしたよ」
葛籠は幸恵と恋瓦の頭を撫でると、にっこりと微笑む。葛籠の目元は不自然に引き攣っているが、その眼差しは優しい。
「葛籠さん、どうしてお寺に?」
「ここにいらっしゃる方は、失礼ながらあまりいい表情をなさっていませんからね。少しでもお役に立てればと思ってお邪魔していたんです」
葛籠の言葉に応える様に、天蜜も微笑む。
「葛籠さんのおかげで、さっきから皆さんずっと笑いっぱなしなんですよ。ほら」
天蜜が示す先には、葛籠の仮面を被って談笑する女性達の姿がある。皆、やけに痩せ細っていたり怪我をしていたりと痛ましい姿だが、仮面の効果だろうか?その目は至って穏やかだ。
「あの人達はね、皆さん沢山怖い目に遭った方々なんですよ」
「そうなの?」
「ええ。でも、ここにいれば仏様が守ってくださるから」
子どもに対してあまり深く話す話題でもない。天蜜は話題を切り上げると、密に向かって言う。
「密、私と輪廻ちゃんはおやつの支度をしてきますから。それまで皆さんのお相手をお願いね」
「分かった。任せろ姉貴!」
天蜜達が甘酒と菓子を持って一旦下がると、密は幸恵と恋瓦に訊ねた。
「さて、待ってる間どうする?保護してる人の中に子どももいるけど、一緒に遊ぶか?」
「うーん。それもいいけどさ、おれ達、実は仕事しに来たんだ!」
「は?仕事?」
「うん。あのね、お父さんにお仕事頼んだでしょ?壊れたもの直してって」
「うん?まぁ、壊れたモンはあるけどよ。お父さん?」
首を傾げる密に、葛籠がそっと耳打ちする。
「瓦嵐さんですよ、瓦嵐堂の。この子達は瓦嵐さんのお子さん方です」
「あ、そうなのか?ってことは、依頼品の引き取りか?」
「うん!!」
元気よく答えるふたりに、密は感心したように頷く。
「へぇ、あずまさんの手伝いだと思ってたけど、親父さんのもか。偉いなお前等!」
「へへ、だろ!?父ちゃんの手伝いくらいできるんだぞ!」
「密お兄ちゃん、壊れたものってなあに?わたし達でも持って帰れるかな」
「おー、ちょっと待ってな」
予め用意していたのだろう、密はお堂の端に置かれていた箱を持ってくる。幸恵と恋瓦が箱を開けると、中から出てきたのは古い蓄音機だった。
「これ?」
「ああ。そんなに重くはねぇと思うけど……持って帰れるか?」
「どれどれ」
試しに箱を持ち上げてみると、持ち上げることはできた。が、家までの距離をずっと持って歩くとなると少しばかり骨が折れそうだ。
「重ければ、あとで私がお持ちしますよ?夕方頃になりますが、実家に顔を出すつもりですし」
心配そうに葛籠が言うと、恋瓦と幸恵はきっぱりと首を横に振る。
「ううん、大丈夫!」
「父ちゃんが待ってるからさ、早く持って帰りたいんだ!」
「そうか、なら邪魔しちゃ野暮だな。気を付けて持って帰れよ?」
「うん!」
頷き、恋瓦は箱をしっかりと抱え直した。幸恵がそれを支え、バランスを取る。
「やったな、ゆき。これで父ちゃんもちょっとは楽になるかな?」
「大丈夫だよ。帰ったら、お父さん喜んでくれるよね!」
ふたりは急いで帰ろうとするが、やんわりと葛籠が引き留めた。
「ふたりとも、おやつは要らないんですか?」
「あっ!!」
おやつ、と言われふたりの足が止まる。
その様子に笑い声を上げ、密も戻るようにと手招きした。
「そうだ、食ってけよ?あずまさんの甘酒飲まないとか、人生の三割は損してるぜ?輪廻が買ってきたのも……あれ何だろ、団子?」
「大福ですよ」
「おっ、大福か!」
丁度、支度ができたらしい。甘酒と大福を山盛りにしたお盆を持ち、天蜜と輪廻、一文字がお堂に入ってきた。
輪廻が密の問いに答えると、密はひょいと彼女の持つお盆に手を伸ばす。
「俺、ここの大福好きなんだよなー」
「これ密!行儀が悪いですよ」
「少しはそこの童を見習ったらどうだ」
「ちぇっ、一文字さんまで!」
叱られた密に小さく笑みをこぼし、天蜜はお堂の女性達に声を掛ける。
「皆さん。今日はお天気もいいですし、外でおやつにしましょう?少し早いですけど、お花見という事で」
「まぁ、お花見!」
「いいわねぇ」
天蜜の言葉に、女性達も浮かれた様子で立ち上がる。
「さ、行きましょうか」
「うん!」
「甘酒~!大福~!」
葛籠に背中を押され、幸恵と恋瓦も外に出る。太陽は先程より更に高い位置に昇っており、ぽかぽかと暖かい空気に皆が肩の力を抜く。
天蜜と輪廻は縁側にお盆を置くと、てきぱきと甘酒と大福を配り始めた。
「さ、どうぞ」
「ありがとう、天蜜さん」
幸恵と恋瓦もおやつを受け取り、境内に転がる大きな石に並んで腰掛ける。
視線を上に上げれば、大きな桜の木が目に入った。もう数日もしないうちに満開になるだろう。
「桜、もうちょっとで咲きそうだな!」
「そうだね。今度のお花見の時には丁度満開かなぁ?」
東遊の甘酒を口に含むと、ふわりと優しい香りが広がる。ほぅ、と息を吐いていると、大きな影に日差しを遮られた。振り向けば、背後に葛籠が立っている。
「お味は如何ですか?」
「うん、あーちゃんの甘酒おいしいよ!」
「大福もすっげーうまい!」
「そうですか、それは良かった」
葛籠もふたりの横に座ると、甘酒を一口飲んだ。
「おいしい?」
「そうですね……ええ。きっと美味しいのでしょう」
「何それ、変な感想!」
おかしそうに笑う恋瓦に、葛籠も口元を押さえて笑う。
「すみません、今さっきまでずっと仮面を作っていたもので。少し味が分からなくなっているんですよ」
「そうなの?残念だったね、葛籠さん」
葛籠の言葉に、驚く様子もなく幸恵は言う。
葛籠が仮面を作る代償は、感情や感覚機能。失うものは大きいが、何、休めばいずれ回復するのだ。そこまで深刻に捉えてはいないらしく、葛籠は軽く笑う。
「味は分かりませんが、温度と香りは分かりますよ。流石はあずまさんのお手製ですね……舌が回復したら、改めて飲みに行きましょう」
「うん、あーちゃんも喜ぶよ!」
「ええ。この大福も、いつかまた。……そうですね、彼女も誘ってみましょうか」
「え?」
「いいえ、こちらの話です」
小声で呟いた葛籠の言葉に首を傾げるも、幸恵と恋瓦は素早く気持ちを切り替えておやつを平らげる。
「ごちそうさまでした!」
「ごちそうさまでした!さ、ゆき。そろそろ行こうか」
「おや、もうお帰りで?」
立ち上がるふたりに葛籠が名残惜しそうに言うと、幸恵と恋瓦は「ごめんね」と小さく謝る。
「あんまりお父さんを待たせちゃ悪いもん」
「もしかしたら、おれ達が持って帰れないんだと思って父ちゃんが来ちゃうかもしれないし」
「そうですか。……そうだ、これをお持ちになってください」
葛籠は何か思い付いた様に懐に手を入れると、一枚の仮面を取り出した。その仮面はにこりと楽し気に笑っている。
「仮面?」
「ええ、甘酒を届けて頂いたお礼ということで。本当なら二枚差し上げたいんですが、生憎手持ちがそれしかないもので」
「貰っちゃっていいの?」
「どうぞ。何かの役に立つかもしれません」
幸恵と恋瓦は葛籠から仮面を受け取ると、蓄音機の入った箱に仮面を押し込んだ。箱の中には多少の余裕がある、仮面の一枚くらいなら入れてしまっても大丈夫だろう。
身支度を整えると、ふたりは天蜜の元へと駆けて行く。
「天蜜さん、わたし達そろそろ帰りますね」
「あら、もっとゆっくりしていっても……」
「うん。でも、父ちゃんが待ってるから」
「そう?また来てくださいね。あ、甘酒有難う御座いましたって、あずまさんに伝えておいてくれるかしら」
「わかった!」
「じゃあね、天蜜さん!」
箱を抱え、幸恵と恋瓦は境内を後にする。
「お前等、気を付けて帰れよ!」
「密兄ちゃん、さよならー!」
「また来まーす!」
見送りの密に手を振って答えると、ふたりはゆっくりと石段を下りていった。


一度通った道である、帰り道に迷うことは無いが、やはり箱を抱えているとどうしても歩みが遅くなる。幸恵と恋瓦は、交代で箱を抱えながら少しずつ先へと進んでいた。
「れんくん、そろそろ交代しよっか」
「落とすなよ、ゆき」
「大丈夫だよ」
恋瓦が箱を一旦地面に置き、それを幸恵が持ち上げる。幸恵が疲れたら、今度は恋瓦が箱を持つ。この繰り返しである。
「今どの辺だろう?家までどれくらいかな?」
「うーん、多分まだ半分くらいじゃないか?もうちょっと行けば、さっき輪廻姉ちゃんに会った店だと思う」
「まだまだかかりそうだねー。……ひゃっ!」
「ゆき!」
幸恵の小さな悲鳴に、恋瓦が咄嗟に振り向く。
箱を抱えているせいで足元がよく見えなかったのだろう。幸恵は小石に躓き、前のめりに転んでしまった。箱も幸恵の手を離れ、がしゃんと大きな音を立てる。
「ゆき、大丈夫か!?」
「うん、わたしは大丈夫……あっ!箱は!?」
血の気が引いた顔で、幸恵は箱に手を伸ばした。落ちた時に随分と大きな音を立てていたのだ、中身が無事とは思えない。
「ど、どうしようれんくん……!落としちゃ駄目ってお父さんと約束したのに……!」
「だ、大丈夫だって!泣くなよゆき!」
「でも、お父さんとの約束、破っちゃ……!」
「ゆきだって、わざと落としたんじゃねぇし!大丈夫だよ!」
気が動転し泣き出す幸恵を泣き止ませようと、恋瓦は懸命に声を掛ける。しかし、いくら恋瓦が拭っても幸恵の涙は止まらない。
「ごめんね、れんくん。わたし、お姉ちゃんなのに」
「ゆき」
「うえぇ……!」
ぐしぐしと目元を擦り、幸恵の目も頬も真っ赤に染まっている。どうすればいいのか分からずに恋瓦が戸惑っていると、じゃり、と背後に足音が聞こえた。
「もしもし、そこの坊ちゃん、お嬢ちゃん」
「え?」
恋瓦が振り向くと、百味箪笥を背負ったキマワリの男性が立っていた。男性は膝を折り、幸恵と恋瓦に目線を合わせて言う。
「いやぁ、急に失敬。あっしは薬売りの宗元って者でさぁ」
「く、薬?」
「ええ。お嬢ちゃん、どこか怪我でもしたんですかい?そんなに泣いちゃあ、かわいい顔が台無しだ」
宗元は百味箪笥を地面に置くと、からからと小さな引き出しを開閉する。
「擦り傷、切り傷、打撲に捻挫。それとも腹痛ですかい?どうかしたってんなら、あっしがお役に立ちますぜ」
「ひっく……怪我は、してないです」
「おや、そうかい。じゃ、どうしてそんなに泣いてるんで?」
幸恵が涙ながらに否定すると、宗元は首を傾げる。
「何も無いのに泣くなんざ、おかしいにも程がありまさぁ。乗り掛かった舟だ、話を聞いてもいいですかねぇ?お嬢ちゃんが駄目なら、坊ちゃんでも構いやせん」
「……」
宗元の言葉に、幸恵と恋瓦は顔を見合わせる。
「どうする、ゆき?」
「どうしよう、れんくん?」
こそこそと相談するふたりを、宗元は嫌な顔ひとつせず見詰めている。……どうも、悪い人ではなさそうだ。
「えっと、宗元さん?」
恋瓦が名を呼ぶと、宗元は小さく微笑む。
「ええ、何です?坊ちゃん」
「坊ちゃんじゃないよ、おれは恋瓦っていうんだ」
「恋瓦さん。へぇ、こりゃいい名前だ。そちらのお嬢さんは?」
「幸恵、です」
「恋瓦さんに幸恵さん。成程、おふたりは姉弟で?」
「うん」
「ふたりだけですかい?親御さんは?」
「父ちゃんも母ちゃんも仕事だよ。おれ達、父ちゃんの手伝いでこれを運んでたんだ」
恋瓦が傍らの箱を指し示す。宗元はほぅ、と細めていた目を開き箱を眺めた。
「こりゃ、随分と大きい箱だ。これを運ぶとなると、随分な大仕事でしょうに」
「うん……それで、あの」
「もしかして、箱を落としでもしたんですかい?」
「え!?どうしてわかったの!?」
宗元の指摘を受け、幸恵が驚きの声を上げる。宗元はくつくつと笑うと、幸恵と恋瓦の掌を指差した。
「おふたりとも、手がもう真っ赤になってまさぁ。こいつを抱えて、もう随分と歩いてきたと見た」
「あ」
「ほんとだ、真っ赤になってる」
「台車どころか、取っ手もなけりゃあ持ち難いでしょうよ。手が疲れても当然だ。むしろ、よくここまで運んできやしたねぇ」
宗元は感心したように頷きながら、荷物の中から一枚の風呂敷を取り出した。風呂敷を地面に広げると、箱に手を伸ばす。
「ちょいと失礼」
「え、何するの!?」
「なぁに、悪いようにはしやせんぜ」
咄嗟に手を伸ばすふたりに笑いかけ、宗元は箱をひょいと持ち上げた。からんと音が鳴り、幸恵が顔をしかめる。
「う、変な音……!やっぱり壊れちゃったのかなぁ」
「ん、いや、そんなこたぁないでしょう」
宗元は風呂敷の真ん中に箱を置くと、そっと箱を開いた。幸恵と恋瓦が中を覗き込むと、蓄音機に異常は無い。
「あれ、無事だ!」
「よかったぁー!」
「うーん、どうやら、音の正体はこいつのようですぜ」
箱の中に手を入れ、宗元は中から仮面を取り出した。
「この仮面が蓄音機にぶつかったんでしょう。どっちも傷一つありやせん、安心してくだせぇ」
「あ!そういや、一緒に箱に入れてたんだっけ」
「何だよ、心配して損した!」
「ま、そう言いなさんな」
宗元は仮面を恋瓦に渡すと、風呂敷で箱を包み始めた。箱の上部に結び目を作り、引っ張って強度を確認する。
「よし、これでいいでしょう。さ、幸恵さんはこっち。恋瓦さんはこっちを持ってくだせぇ」
宗元に手を取られ、幸恵と恋瓦は結び目を握った。
「こうすればふたりで持てるでしょう?これなら重さ半減だ」
「すげー!有難う、宗元さん!」
「れんくん、せーのっ!」
幸恵の合図で持ち上げると、箱は軽々と宙に浮いた。ふたりで持てる上に、持ち手ができたことで手への負担も随分と軽くなる。
「わぁ、これなら安心だね!」
「だな!早く持って帰ろうぜ!」
喜ぶ二人に、宗元はにこにこと笑みを浮かべて尋ねる。
「気を付けて帰ってくだせぇ。おふたりは遠くからいらしたんで?」
「ううん、瓦嵐堂っていう……花街にある店なんだけど」
「おや、花街!そいつは奇遇だ。あっしもこれから行くところだったんでさぁ」
「そうなの?」
「ええ。ちょいと商売と……それと、花を一輪愛でようと思いやしてね」
「花?」
「おっと、おふたりにはちょいと早い話かもしれやせんね。ま、あと十年もしたら分かるでしょうよ」
けらけらと笑い、宗元は百味箪笥を背負い直した。ひょいと立ち上がり、幸恵と恋瓦に手を振る。
「さて、お節介はここまでだ。あっしは仕事があるんでね、申し訳ねぇが先に行かせてもらいやす」
「あ、あの!有難う御座いました!」
「いえいえ。幸恵さんが泣き止んでくれやしたからね、それで十分でさぁ。生憎、あっしの商品に涙を止める薬ってのはありやせんから」
肩を竦める宗元に、ふと恋瓦が何かに気付いた様に声を上げた。
「あのさ、宗元さん」
「はい?」
「これ、この仮面!宗元さんにやるよ」
恋瓦は手にしていた仮面を宗元に差し出すと、にっと笑顔を浮かべる。
「この仮面さ、被ると笑顔になるんだ!助けてくれたお礼!」
「へぇ!そんな大層なモン、いいんですかぃ?」
「勿論!いいよな?ゆき」
「うん!」
「それはそれは……こいつぁとんだ儲けもんだ」
宗元は恋瓦から仮面を受け取ると、まじまじと見つめて言う。
「笑顔になる仮面とはねぇ……まさか、こんな物があるたぁ思いやせんでした。あっしの商品にゃ無い効能だ。……こいつがありゃ、あの人も笑ってくれるかねぇ?」
「宗元さん?」
「いいや、何でもありやせん。それじゃ、有難く頂いていきますよ」
「うん、さよなら宗元さん!」
「あとでうちにも寄ってってくれよなー!」
「ええ、是非とも寄らせて頂きやす」
ひらひらと手を振り、宗元は花街へと向かって歩いて行った。残された幸恵と恋瓦は、しっかりと風呂敷でできた取っ手を掴む。
「さ、わたし達も行こう!」
「ああ!」
ふたりで箱を持ち上げ、転ばないようにゆっくりと歩いて行く。──家まで、もうすぐだ。


**********


「ガゥ」
「あ、伯父さん」
幸恵と恋瓦が花街に辿り着くと、大門の前には珍しい事に瓦車が立っていた。
「ア……ウゥ?」
箱を指差して首を傾げる瓦車に、幸恵と恋瓦は大きく頷く。喉を潰され言葉を発することができない瓦車だが、流石は身内と言うべきだろうか?ふたりには瓦車の言いたいことが何となく理解できるようだ。
「うん、お父さんのお手伝い!」
「おれ達、お寺まで行ってきたんだぜ!」
「ウ!」
ぽん、と手を叩き、瓦車は門の反対側に立つ不入に手招きした。左の掌に、右手の人差し指で文字を書く──どうやら、筆記具を要求しているようだ。
不入は瓦車に筆と紙を渡すと、にこりと幸恵と恋瓦に笑顔を向ける。
「どうぞ、瓦車さん。幸恵ちゃんと恋瓦くんも、お手伝い偉いですね」
「有難う、不入さん!」
「ウ」
さらさらと文字をしたため、瓦車は幸恵と恋瓦に紙を差し出した。書かれている文字を、幸恵が声に出して読む。
「えーと……お疲れさまでした。お父さんが心配していましたよ。お母さんももう帰っていますから、早く顔を見せてあげなさい」
「え、母ちゃん帰ってるの!?」
「ああ、先程お戻りになられましたよ?貴方達が心配で、仕事を早めに切り上げてきたそうです」
「本当!?急ごう、れんくん!」
「わかった!じゃあな、伯父さん!不入さん!」
「お気をつけて~」
「ガゥ」
門番に見送られ、ふたりは大門をくぐった。瓦嵐堂へは大通りを真っ直ぐ進むだけ。一目散に歩いて行くと、やがて店の前でそわそわと周囲を見回す瓦嵐の姿を捉える。
「お父さーん!」
「ただいまー!」
「おっ、幸恵!恋瓦!」
大声で呼ぶと、瓦嵐はぱっと顔を輝かせその場に片膝をついた。両手を広げる瓦嵐の胸に、幸恵と恋瓦は倒れ込むように飛びつく。
「お帰り」
ぐっとふたりを抱き締める瓦嵐に、幸恵と恋瓦は左右から話し掛ける。
「あのねあのね、お父さん!凄かったんだよ!えっと、お寺に行く途中にね、お茶屋さんで輪廻さんを見掛けてね!」
「聞いてよ父ちゃん!ちょっと早いんだけどさ、お寺で花見したんだ!あーちゃんの甘酒すっごい美味しかった!」
「天蜜さんってね、すっごく優しいんだよ!密お兄ちゃんも面白いの!」
「宗元さんがさ、風呂敷で包んでくれたんだ!おかげでおれ達でも簡単に持って帰ってこれたんだぜ!」
「はいはいはい、ちょっと待てって!んな一気に言われても分かんねぇっての!」
興奮する子ども達に苦笑しながら、瓦嵐はふたりを抱き抱えて立ち上がる。
「とりあえず、一旦中に入ろうな。母さんも心配してたぞ?いろは、依頼品運んでくれ!」
「おう、まかせろ!幸恵、恋瓦、おかえり!」
「ただいま、いろはちゃん」
「いろは、ただいま!」
伊呂波号を呼んで箱を運ばせると、瓦嵐は子ども達を抱いたまま店へと入っていく。
「琴恵、ふたりとも帰って来たぞー!」
「えっ!……おかえりなさい、ゆきちゃん、れんくん!」
店の奥に呼び掛ければ、ぱたぱたと足音が聞こえてきた。幾分もしないうちに、琴恵が顔を出す。
「お疲れさま、ふたりとも!」
「お母さん!」
「ただいま、母ちゃん!」
幸恵と恋瓦は瓦嵐の手から飛び降りると、一目散に琴恵に飛びつく。
「凄いね、あずまさんのおつかいも、お父さんのお手伝いもどっちもできたんだ!偉かったね!」
琴恵はしっかりと子ども達を抱き締めると、目元に薄ら涙を滲ませた。
「お母さん、何で泣くの!?」
「どうしよう、葛籠さんの仮面、宗元さんにあげちゃったのに!」
「ううん、大丈夫だよ。お母さんね、嬉しくって嬉しくって……!」
心配するふたりに笑顔を向け、琴恵はもう一度強く抱き締めると明るい声で言った。
「さぁ、今日は御褒美に何でも好きなもの作ってあげる!ふたりとも、食べたいもの何でも言ってね!」
「え、本当!?やったー!」
「俺、天ぷら食べたい!」
「天ぷらだね?任せて、最高に美味しいの作っちゃうから!」
「わーい!!」
喜ぶ幸恵と恋瓦の頭をくしゃりと撫で、瓦嵐は優しい声で言う。
「ふたりとも、さっきの話の続き、夕飯の時に聞かせてくれよな」
「うん!」
「おれ達、次はもっと沢山父ちゃんの手伝いするからな!」
「そっか。それじゃ、また何かあったら頼むぞ?父さん、まだしばらくは忙しいからなー」
瓦嵐の言葉に、幸恵と恋瓦はぎゅっと彼の着物の裾を掴んで言う。
「お花見までにお仕事終わらせてね、お父さん!」
「桜、もうすぐ満開になりそうなんだ!お花見の約束、破ったら承知しないからな!」
「分かってるって。それじゃ、早速一仕事してくるか。いろは、手伝ってくれ!」
「あいさー!」
にっかり笑い、瓦嵐は作業場へと入って行った。その背中を見送るふたりに、琴恵は笑顔で言う。
「さ、夕飯まで少し休んでて?沢山歩いて疲れたでしょ?」
「うーん、うん……」
「なんかおれ、眠くなってきた」
疲れと安心感で一気に気が抜けたのだろう。幸恵と恋瓦は大きなあくびをし、うとうとと瞼を閉じた。
琴恵は手早く布団を敷くと、そっとふたりを布団に横たえた。間も無く、小さな寝息が聞こえてくる。
「……お疲れさま」
琴恵が優しく頭を撫でると、幸恵と恋瓦の寝顔が微かに微笑んだ。
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橋谷あも

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