あもぞん初夏の文章祭

暗紅
暗紅(イベルタル♀)
立ち絵以外にあんまり真面目な絵描いてないんですけど、たまにはちゃんと暗紅を描きたかったので。
暗紅めちゃくちゃ推してるので、好きにならなくてもいいけど顔と名前は覚えて帰って頂けると嬉しいです。アンクチャンです。


追記に文章。
くろがみさん宅ホプキンスさんをお借りしています。いつぞや出た薔薇ネタを今になって回収するという…まさかの……
話としては短いんですが、どうしても書きたかったので!!!
保存転載等はくろがみさんのみご自由にどうぞ。
素敵なお子さんをお貸し頂き、有難う御座いました!



周囲を取り巻く音の波を掻き分けるように、コツコツと規則正しいリズムで靴音が響く。
その微かな音を拾い上げ、アフロディテはふわりと甘い微笑みを浮かべた。
「こんにちは、ホプキンスさん」
もうどれ程の付き合いになるだろうか?初めて出会った夜と寸分違わぬ姿のまま、ホプキンスは石畳を鳴らしてアフロディテへと歩み寄る。
人通りの多い街中だが、ホプキンスは周囲の風景など視界に入っていないらしい。真っ直ぐにアフロディテへ視線を向けると、形のいい唇を薄く開いた。
「久しいな、アフロディテ。変わりはないか?」
「ええ、おかげさまで。ホプキンスさんこそ、最近忙しそうだったじゃない?ずっと研究してたんでしょう?」
アフロディテは笑いながら、しかし呆れたような声で言う。
「フィールドワークにでも出てたの?靴……あ、裾もだわ。汚れてるわよ?」
「ああ、少しばかり面白い研究ができそうでな。今も『観察』から戻ってきたところだ」
「もう。一体何を観察してるのかしら?……はい。綺麗になったわよ」
「すまんな」
「いいえ、どういたしまして」
ホプキンスの服に付着した土汚れを手で払い落とし、アフロディテは小さく肩を竦める。
決して身嗜みを疎かにしているわけではないが、ホプキンスは決して自分を着飾るようなことをしない。彼の研究についてアフロディテは詳細を知らないが、見たところ外に出る機会は多そうだ。
アフロディテと会う約束をしている時はしっかりと身なりを整えて来るが、今日の様に外出先から直行してきたり研究に没頭していた場合はその限りではない。不思議とホプキンスの顔色に変化はないが、服ばかりが不釣り合いにくたびれていく。
「ホプキンスさん、折角かわいいのに。そんな風に汚れてばかりじゃ勿体無いわよ?」
アフロディテが素直に思ったことを言うと、ホプキンスは僅かに眉間に皺を寄せる。
「アフロディテ、何度も言うが私にとってかわいいは褒め言葉ではないぞ?」
「あら、ごめんなさい。でも、もう少しお洒落に気を遣ったって罰は当たらないわよ。せめてフィールドワーク用の服とか用意できないの?」
「必要無いだろう。私はこの服で十分動けるし、着飾った所で何の得も無い」
「そうかしら?衣装で気持ちが切り替わることだってあると思うわよ。少なくとも私はそうだけど……」
「どうせ着飾るなら、お前の方がよっぽど良いだろう。最も、お前は何を着たところで服も霞んでしまうがな」
わざとらしく肩を竦めるホプキンスに、アフロディテは小さく頬を膨らませる。
決して人は見た目で決まるとは思わないが、アフロディテから見てホプキンスはとてもかわいらしい容姿をしている。折角の逸材なのだ、磨かないでいるのは宝の持ち腐れというものだろう。
「たまにはホプキンスさんにもお洒落してほしいわ。私のわがまま、聞いてくれない?」
「折角の頼みだが、今回は断らせてもらおう。私に何のメリットも見当たらない」
「むぅ……」
「さぁ、この話はもう終わりだ。出掛けるんだろう?折角の休日が終わってしまうぞ」
「あっ!待って頂戴」
歩き出したホプキンスのあとを慌てて追い掛けながら、アフロディテはちらちらと街頭に立ち並ぶ店を眺める。
きらきらと光を放つ宝石、色とりどりのリボン、流行の最先端を行くドレス──どれもアフロディテの目には美しく映るが、いざホプキンスがそれらを身に纏った姿を思い浮かべると、どうにもしっくりこない。
決してアフロディテのセンスが悪いつもりはないが、ホプキンスの持つ魅力を引き出せないのであれば意味は無いだろう。いくら見た目を取り繕っても、これではまるでただの着せ替え人形だ。
「……だめね、私ったら」
ホプキンスの背中を見詰め、アフロディテは声に出さずに呟く。
きっと、ホプキンスの言う通り、アフロディテの思う『かわいい』は彼には似合わないものなのだろう。身勝手な思いを押し付けてしまったことを恥じ、アフロディテの歩みが止まる。
「……?どうした?」
「ごめんなさい、ホプキンスさん」
アフロディテの様子がおかしい事に気付き足を止めたホプキンスに、気落ちした声でアフロディテは言う。
「私、勝手な事を言ってたわ。ホプキンスさんに似合うものと、私が好きなものは違うなんて当たり前のことよね」
「その話、まだ続いていたのか?」
「だって、ホプキンスさんの気持ちを無視しちゃってたもの……」
肩を落とすアフロディテに、ホプキンスは小さく首を振り言う。
「気にするな。あれもお前なりに私を気遣ってのことだろう?」
「でも」
「別に怒ってはいない。ただ、本当に必要が無いだけだ。だからそんな顔をするな」
アフロディテの頬に触れ、ホプキンスはその瞳を覗き込む。
「沈んだ顔も悪くはないが……お前は笑っているのが一番だ。折角の薔薇の笑みが萎んでいては勿体無いだろう?」
「薔薇……」
ホプキンスの赤く光る瞳を見詰め、アフロディテの脳裏にちかちかと閃光が走った。
「そうだわ、薔薇」
「え?」
「ホプキンスさん、ちょっと待ってて!」
アフロディテは叫ぶように言うと、ホプキンスを置いて近くの商店へと駆け込んでいった。しばらくして戻ってきた彼女の手には、小さな包みが抱えられている。
「アフロディテ……何だそれは?」
「うふふ。あのね、これは『かわいいもの』じゃないんだけど……ホプキンスさんに着けて貰いたいなって思って」
アフロディテはにこにこと微笑みを浮かべ、手にした包みを開いた。中から取り出したのは、燃える様に赤い薔薇のコサージュだ。
「薔薇?」
「そう。ちょっといいかしら?」
ホプキンスの胸元に手を伸ばし、アフロディテは薔薇のコサージュを着ける。
「うん、よく似合ってるわ」
「ふむ……」
薔薇が咲いた胸元を見下ろし、ホプキンスは少しだけ呆気にとられた様子だ。薔薇はまるで何年もそこにあったかの様にしっくり収まっている。装飾品に興味も必要性も感じないが、不思議とこの薔薇を外そうという気は起きなかった。
「急に走り出したかと思ったら、これか。急にどうした?」
「あのね、私、思ったの。ホプキンスさんにかわいい格好をさせたいわけじゃなくて……あ、勿論したいならいくらでも手伝うわよ?って、そうじゃなくて!私、ホプキンスさんのいいところをもっともっと引き出したかったのよ」
「いいところ、か」
「ええ。かわいくて、格好良くて、強くて、優しくて、賢くて……それに何より、私の一番のお友達ですもの!そう思ったら、何て言うのかしら……お友達の証みたいな?そんなものが欲しいなって」
照れた様に笑い、アフロディテは自身の服に散りばめられた薔薇のコサージュを指す。
「ほら、私も薔薇を着けてるし。これとお揃い。なんて……どうかしら?だめ?」
小さく首を傾げるアフロディテに、ホプキンスは合点がいったという様子で頷く。
先程薔薇を着けられた時に感じた既視感は、それ──アフロディテの薔薇か。彼女と会う度にいつも視界に入っていたせいだろう、自身の胸元にある薔薇とアフロディテの薔薇が重なり、途端に身近なものに見えてくる。
「ごめんなさい、やっぱり邪魔だったかしら」
「いや?そんなことはない。……そうか、お前と揃いか」
不安そうに薔薇に手を伸ばすアフロディテをやんわりと止め、ホプキンスは小さく唇の端を吊り上げる。
「それはいいな。気に入った」
「本当!?」
「ああ。有難く頂戴しよう」
ホプキンスの言葉に、アフロディテは輝くような笑顔を浮かべる。
「良かった、受け取ってくれてほっとしたわ。大切にしてね?」
「当然だ。なんせ、『一番の友達』からの贈り物だぞ?」
頷き、ホプキンスは薔薇と同じ色の瞳を細めて笑った。

その日から、彼の胸には小さな緋が灯っている。

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橋谷あも

Author:橋谷あも
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